ギャラリー鑑賞記録簿 隅田川のあっちとこっち。

散策やギャラリー鑑賞などマメに記すようにしたところ、その行動範囲に幾分ヒかれているように思いますが、けっして生き急いでいるわけではないのです、よ。

Audrey Fondecave Exhibition/des ailes 羽たち
未だに名前をソラで言えないオードリー・フォンドゥカヴ(勿論コピペで)、素敵でした。このひとの描く樹木や動物がとても好き。白い部屋のひかりのなかで軽やかな色彩の羽ばたきにみとれました。

清澄白河へ。
Hiromix 「早春、心の輝き」
hiromiyoshiiにて。柔らかな光に満ちあふれる写真の眩しさは若さ故ではなく、遠い記憶が蘇るようだった。そんな光の質感に「2000年代後半」を感じる。イラストも展示してあるのだけど、こ、これはどう捉えればいいの?あまりにな稚拙さは戦略的なのか素のままなのかどちらにしても個人的には受け入れがたいモノが。。。
:::
続けて同じ建物内のギャラリーを巡る。中でも気に入ったのはこの2つ。
伊藤存 「四月パカ」
タカイシイギャラリーにて。幼児の落書きのようなぐちゃぐちゃとした描線が一面に広がり近づけばそれは刺繍だと気づく。人物や風景の形をなぞったように入り乱れ蠢いている糸で綴られた画はとってもチャーミングで、伊藤さん自身の人柄がでているのではないかなあとほこほことした。とても好き!
:::
ジェラティン 展
小山登美夫ギャラリーにて。オーストリアのアーティスト集団のぶっとんだインスタレーションに大ウケ。具体的にどんなのかは敢えて書かないケド、靴脱いで歩きにくい”渡り廊下”を歩いて小さな穴を抜けた先に広がる風景!「これ」をやっちゃうって素晴らしい!他に誰もいないし座って暫くぼーっと眺め、雑多な無の境地に至るのでした。”石になったときに”広がる今までに無い視界も楽しかった。

この界隈が好きなので散歩しつつ、近場のギャラリーをはしごすることに。

南北を流れる隅田川を渡り、西から流れ込み隅田川に混じろうとする神田川へ。



船宿いいなー。

馬喰町へ。

長塚秀人 「純粋風景」
ラディウムーレントゲンヴェルケにて。
空や海といった「風景写真」に微調整を加えることで「その景色を見たことで生じた彼の心象風景」となる。生じさせた「ピンぼけ」がギミックにならない。彼にはそう見えたんだなと思いそこに引き込まれる。ぼやけた部分と鮮明な部分、とろんとしたブルーとグリーンの間の色あいが美しい。

井上廣子 「Inside-Out」
foilギャラリーにて。入ってすぐの一連の写真からぐっと掴まれた。窓、窓。誰もいなくて止まったままの時間を感じる。部屋のなかから窓を写しその向こうの光を感じる。部屋は誰かが寝ていた後のカラのベットだったり、それに診察室と思われる部屋も。横一面には錆色の廃墟と化した部屋が。どの写真も「不在」の部屋。
奥には床にいくつもライトボックスが置かれ暗闇に青や赤の写真がボアっと浮かび上がる。ぞくり、とした。
写真家というよりもジャーナリストとしての側面も持つ造形作家であるからか、「見せ方」もうまい。どの作品も死を感じさせるのに穏やかで、悲痛な感じはしない。静寂で不思議なやわらかさに包まれる。撮影場所はドイツで、精神科病院や少年院やかつて療養所として使われていた建物とのこと。

ラディウムとfoilは何やってるか知らないけど近場に来たから覗いたら「当たり」で、見てよかったなあ。こういうのはウレシイ。TARO NASU寄るの忘れた!この界隈もオシャレアートスポットとして取り上げられることが増えましたねえ。そういえばfoilの隣の部屋はどういう方向で行きたいのか未だにナゾ。店内は若い人ターゲットなオサレな雰囲気なのに展示作品が大抵ソレらしくないカルチャースクール的なのばかりで、ひいては関係者らしき中高年グループのおしゃべり場と化しているのだった。私が行くタイミングが悪いのかどうかさてはて。