Mark Borthwick、響像、nakaban、 内海聖史、カンポ・バエザ

■Mark Borthwick展、GALLERY SIDE 2にて。
90年代ファッションフォトに始まって、映像や音楽に詩作まで手掛けるマーク・ボスウィックの個展はその魅力が溢れた素敵な空間になっていました。写真を中心に草花やキャンドルなどを組み合わせ、インスタレーションというよりもスタイリングされた部屋にお邪魔したような、ここにあう音楽や薫りを想像しながら、モーター音だけが聴こえる館内に漂う空気にひとりぼんやりと包まれる静寂がここちよいのです。淡い光が拡散する幻想的な世界は、この何年かの写真界の流れと共通するガーリーさ(男性とは思えない!)があるけれど、真似出来そうでけっして出来ない繊細さにはこれまでの彼が作品に反映してきた思想*1が芯にあることが伺えます。

Not in Fashion

Not in Fashion

新作の写真集は表紙は厚いボール紙なのに背表紙は布張りなんて造本も素晴しい。

Cat Powerとコラボレートした映像作品。
Speaking for Trees: A Film By Mark Borthwick [DVD] [Import]

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■響像/KYO- ZO「Anti Planetarium」展、rocketにて。
ここの「小さくて、天井が高くて、変型」してる建物を上手くつかったインスタレーション。「建物自体」が作品になったようでもある。真っ暗な空間に赤い閃光が走る、自分が上へ上へと高く昇っていくのか、下へ下へと沈んでいくのか、オカシナ気分になってくる。電子ノイズな音楽もハマるんだけど、もっと空間を意識した音響にしたら更にオカシナ気分が高まりそう。


■nakaban展、トムズボックスにて。
油絵ということでどうなのかしら?と思っていたけど、とても素敵だった。鈍く沈んだ色使いの景色はこころのなかに棲む情景で、川に掛かる橋の上の列車や、S字カーブの田園風景、そして「マジックアワー」!じわじわとこころに沁み入り、ずっとずっと見ていました。このひとの持つ空気が好きだ。


■内海聖史展、スパイラルにて。
鮮やかな油絵の具のドットが幾重にも重なり合って描かれる作品は、ふああっと吸い込まれる美しさを持っていた。スパイラルの高い天井から降り注ぐ光を浴びて広がる、緑を基調とした大きな一枚絵はまさに森のようで気持ちがよかった。穿った言い方をすれば日本人好みだなと思えるところもあるけれど。


■カンポ・バエザの建築展、ギャラリー間にて。
イデアスケッチ、書籍で見れば十分なものが「小さいメモ仕立てにして天井からぶら下げる」展示方式により、思考の移り変わりが伺えてとても面白かった。樹木のようであり雲のようであった。どのスケッチにもサッサッと上から流れる細い線があったんだけど、完成した建物の写真を見ると「光線」の流れなのね! にしても建築の展覧会って難しいなあと思いながら後にしました。

*1:昨年のインタビュー」(リンク)は、今日のファッション雑誌を元に消費社会批判をしていて読み応えがあります。