ジェイソンさんとソニックさん

Mister Lonely

Mister Lonely

ハーモニー・コリンの最新作「ミスター・ロンリー」は音楽も印象的な映画でもありました。
製作したのはJ.SPACEMANとSUN CITY GIRLS。メランコリックでノスタルジックでドリーミー、穏やかで不穏で、空気が奇妙に溶けていく音。あくまでも映画に寄り添いつつこのアルバム単体でも十分に素晴らしいアルバムに涙する。(ジャケ、未見のかたは凝視しないコトをオススメします!)


さてJ.SPACEMANが率いるSPIRITUALIZEDの5年ぶりのアルバムを万歳三唱で聴く。

Songs in A&E

Songs in A&E

まず、声に驚かされる。まるで違う!生体能力が著しく低下した枯れた弱々しい声色。元々力強い声じゃあないけど、それにしても違いすぎる。
本作レコーディング中に倒れて入院(それも生死を彷徨った)、というアクシデントを乗り越えて漸く完成したという話は知ってたけどもそれを確かに頷かされるのは声に限らず、曲調もサイケデリックな響きは殆ど消え、ブルージーな乾いた質感が広がっている。「宇宙遊泳」に顕著だったロマンチックな風合いも。前作のようなガレージ寄りの楽曲もあるけれど、それは体調を崩す前に用意していたものだろうか。
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さっき「ブルージーな乾いた質感」と書いたけども余韻はひどく切なくて湿り気を帯びている。いつのまにかスピはジェイソンさんひとりのユニットになり、宇宙にひとりぼっち状態の孤独な寂しさが漂っている。
「宇宙遊泳」のような「薬箱シリーズ」のジャケを広げると思わせぶりに痛々しい写真があって、このヒネクレ皮肉屋!と痛々しいPVを見てもそう思うのであった。(90年代後半はThe Verveのリチャード・アシュクロフトとUK2大イケメンとして名を馳せていた、らしいですなー)

サマソニに来るのは嬉しいけど(まだ行くか決めてないケド)こんなアコーステックセットだったらヤダな。。。

"Walkin' With Jesus" live at Coachella 2008
こ、この曲がこんなアレンジで・・・。


そういえばこのあいだ見たあのヒトはひょうひょうとしてたなあと思い出す。・・・あのヒトとは勿論sonic boomさん。ジェイソンさんとともにSPACEMEN 3を結成していた、本名Peter Kemberさんでございます。
ソニックさんは公言するほどジャンキーな訳だし地下帝国に潜んでる感じだったので、このあいだの初来日公演での「爽やかにこやかさん」具合には大層驚いたのです。このところプロデュースなどで横のつながり増してるし。
なもので今のジェイソンさんの変貌を見ると、わからんものよねえなどとしんみりしたりするのです。

Indian Giver

Indian Giver

spectrum名義での久々(というかもう出ないと思ってた)アルバムも出て、犬猿の仲なこの2人のアルバムが今年揃って出てしかもそれぞれ来日するとは、なんともフシギなものです。
(「ついにspectrumを見た!」←リンク)
メンフィスのJim Dickinsonさんとコラボレーションしたことにより、ブルージーなニオイで燻されている(あら、ソニックさんと近しい?)のだけど、アナログシンセと単調なリズムが醸し出す「sonicさんならではの、噛んでも噛んでも噛めない浮遊した味ある音の波」にとろとろふあふあ、あのライブで体感した音の波動が体の奥底から蘇ってきて、きもちよいなあとぼんやりしてしまう。このヒトが編み出す「とろとろさ」は磨き方が美しくって、巷のそれっぽいのとは違うナア、、、おやすみなさい。。。zzz