ルー・リード/ベルリン

ベルリン

ベルリン

すっかり暗くなってカレー食べて、バウスシアターの爆音レイトショー。シネクイントで公開時21:30〜という上映時刻に恐れを成し見送ってしまった「ルー・リード/ベルリン」がバウス恒例"爆音"で公開されるということで、行ってきた*1
敢えて前置き。ルー・リードが'73年に発表したアルバム「ベルリン」。当時、東西に分断されたベルリンが舞台の「ロック・オペラ」として構成されたコンセプチュアルな意気込みをヨソにセールス的には失敗し彼自身が「封印」してしまったアルバム。時を経て「全曲再演」となったライブの模様を収めた映画。監督は『潜水服は蝶の夢を見る』のジュリアン・シュナーベルで、時折詞の世界をドラマ化した映像が入っていたけれど全体としてはシンプルにステージを映していて、"爆音"で更に臨場感が増して冒頭鳥肌が立ち、一曲終わるごとにスクリーン上の観客とともに思わず手を叩きそうになった。
ルー・リードは「冷たくヒリヒリと胸に刺さる物語」を淡々と呟き唄い、マイクに向かわないときはあくまでもクールにギターを弾く、その音ったら!空気がガラリと染め変わる!ウッときて震えた。スゴい。スッゴクカッコいい!
「このひとの音」は私の骨であるなあとつくづく思う。
大きなスクリーンに映るのは深く刻まれた皺でいっぱいの眼鏡を掛けたルーおじーちゃん。御歳66。ひー!でもその皺こそが彼が刻んできた音そのものなのだ。
本編ラストの「悲しみの唄」では合唱団の少女たちが「sad song〜」と繰り返し唄い続ける、その輪はどんどん上昇する、とてつもなく哀しいのにこの不思議な昂揚感はいったいなんだ?いいようのない多幸感が私を包み、顔がヒクヒクしてくるのだった。
いわば「悪魔!鬼!」な極悪非道(失礼すぎ)のルーさんが慈悲深い仏様に見えた、そう彼は「笑っていたのだ」、ステージで!

*1:渋谷で21:30〜か吉祥寺で20:45〜というと微妙な差ではあるけどいやいやこの差は大きいぞ、爆音だし