さいきん聴いた新譜

旅という非日常から戻り、まとめて綴ります。

Primary Colours

Primary Colours


格段に変化した先行シングルの「靄がかかった淡い極彩色の光の粒が拡散し浮遊し昇華する音像」に溶けて惚けていたので、アルバムを楽しみにしていたんだけどねえ。他の楽曲には「新鮮に楽しめる」モノをまるで感じなく、なによりもアクがなくなってしまったことにガッカリ、拍子抜け。「根本」がないまま「お飾り」を付けたように感じるし、ジェフ・バーロウ仕事で捉えるならばポーティスの「3rd」のほうが断然深度ある。
雑誌やネット上でざっと見た限り一様に「1stはダメだったのに今回化けた」という風潮なのが、わからない。私は1stのがいいです。


Set Em Wild Set Em Free

Set Em Wild Set Em Free

異様にテンション高く舞い踊り、ぐるぐるめまぐるしく視界が移り変わっていく。ナンでもありな「フリーダーム!」な雑種性なヒトたちだけど、あくまでも自分たちの音にしたうえで繰り広げられていて「スモールサークルの奇妙なひとたち」ではけっしてない。メロディやアレンジ、構成などすこぶる良くて前作よりも更に強さと広がりを増して頼もしいくらい。ライブ楽しみ!(野外で見たかったなー)


Giuseppe Ielasi/Aix
(ジャケ画像のみ)

ジャケ通りの音。楽器から抽出した音のタイルを格子状に規則的に割り振り、淡々と進むかと思うと少しずつづれていき、静寂で不規則な奇妙で不思議なグルーヴを感じる。聴いていて飽きない面白さ。聴く度に発見があるのにそう感じさせないクールさがいい。かといって冷たさはなく仄かな温度があるのは「ズレ」のせい?


Molly Berg & Stephen Vitiello/The Gorilla Variations
(ジャケ画像のみ)

フィールドレコーディングに楽器や電子音を織り交ぜて綴られるこの短い物語は、かつて真夏の午睡に見た夢だ、白い光につつまれてかたちをなくし曖昧でおぼろげな、遠い彼方からの音。
朴訥でやわらかな陽の光のあたたかな感触がとても好き。12Kからリリースだということにも驚くけれど*1


Choral

Choral

Thrill Jockeyからのリリースで、これは手堅い一枚だと思ったらほんとにそのとおり。微かなギターを中心に楽器を組み合わせ、それを電子音が包み込み、幾重にも重ね合わせ、繊細で儚くて、粒子までもが空気に溶けてしまった。終始浮遊しているのではなく、澄んでぴいんと張られた水面を割って底の無い湖にするすると沈んでいくことも、そしてまた霧を立ち上らせるかのように高揚することもあり、冷めた空気感のまま曲ごとに音像が移り変わるのでダレルことがない。


あとはNHK BS「ワールド・プレミアム・ライブ」にて
アークティック・モンキーズ
NHK BSで放送された2007年12月マンチェスターで収録されたライブ映像。ボーカルのUKギターバンド顔に見蕩れるのはもちろんですが(だってねえ)、リズム隊がうまいので聴いていて気持ちがよい!ドラムくん頑張ってるなあ。彼らが与えた影響を改めて痛感いたしました。こういうバンドが国民的人気ってのはスバラシイ。


レディオヘッド
観客のいないスタジオライブで彼らの演奏を至近距離で堪能といったつくり。音が生まれる流れをじっくり見入ることができ、とても面白かった。何よりも音をつくりだすことが好きという喜びに満ちあふれていたのが印象的。音楽を聴くことに自覚的になったときにまず彼らの音を聴いてしまった世代はある意味タイヘンじゃなかろうか。最初っからハードル設定が高くなりすぎちゃうよねえ。


夏フェスをどうしようか思案中…。

*1:もともとEder Santopsというビデオアート作家の作品のサウンド・トラックらしい