「without records」


zin'mateの熱気を離れた2階では大友良英による『約100 台の古いポータブル・レコード・プレーヤーを用いた大規模なサウンドインスタレーション』が行なわれていました。
会場は深い森を彷徨っているみたい。鬱蒼とした樹々はレコードプレーヤーであり、葉のざわめきはノイズであり、耳で、目で、皮膚で、からだ全体で静寂が波打つのを感じていました。
どのくらいの時間いたでしょうか。わたしとこの空間が一体化したような、しかし、わたしがあり空間があり音があり光があることはスラッシュで区切られていることを改めて認識したような、わたしは溶けたのにシャンと筋が立ったようなおももちになって階段を下りました。
この思いを引きづりながらドアを開けると、夏の強い日差しに直撃されました。入り口で貰ったチラシに書かれた大友さんの言葉("ENSEMBLES 09"のウェブサイトに掲載されている「休符だらけの音楽装置宣言」)はいま体感した空間そのものであり、私のこころにズシリと突き刺さり、モヤモヤとくすぶってた重い鉛が出たような気持ちになりました。