No Man's Land

金曜日、会社をお休みしてのんびりしました。お昼前、どうしようかなあとぼんやりしてたらキャロット・ラペサンドが無性に食べたくなってきて、遠くはないけど微妙に行きづらい場所にあるパン屋さんで買い求めてから、高台で見晴らしの良い近くの公園で。人参のやさしい甘みとレーズンの濃厚な甘みがビネガーでさっぱりと混ざり合って、バゲッドの歯ごたえとともにむしゃむしゃ夢中になってあっという間に食べてしまった。うまー。

ここから原宿へ移動、けやき並木にはクリスマスのイルミネーションが飾られています。休止されて幾年か経ち、今になっての復活は不景気対策なのかなんなのか?「エコエコ」言う割にイルミネーションに寛容な世間が良くわかりません。
古着屋やギャラリーを回って、ちょっと休憩。

柔らかい光と鳥たちの声が降り注ぎ、車の騒音や子供たちのはしゃぎ声がここちよく聞こえてくる、不思議な静寂さに満ちたこの空間が大好き。
そこからすたすたと、西麻布。この交差点にあるホブソンズを見る度に「まだあるんだ…」と思い、出来た当時に母と行ったことを思い出すのです。さらにすたすた、外苑西通りはバブルのニオイが褪せたまま時代がそこで止まったままのような、妙な空気感があります。
広尾駅を通過し、住宅街のなかの坂道を上ったりふらふらする。

そうして辿り着いたのはフランス大使館。新庁舎が完成し、解体される旧庁舎で「No Man's Land」というアートイベントが行なわれているのです。
フランスおよび日本のアーティストが多数参加。元事務室に会議室などなど館内の各部屋を各自一室づつ与えられて、インスタレーションが展示されています。美大の文化祭を思いだしたけど、自分の好みの作品を見つけるのが楽しい。中でも寺田真由美さんの写真が良かった。以前ギャラリーで見て、強く印象に残っていた人。今回はこの大使館に残された気配をすくいとり、狭い室内に静かに厳かに漂う空気はまさに「この世から消え行く」匂いがして、皮膚が震えてしまった。もともと「虚構の気配」をつくり出す作風だけに、特にはまったのかもしれない。

ところで館内の写真撮影については特に言及されていなかったけれど、どうなのだろうか?撮ってる人多かったけど、著作権云々は別にいいのかなー? 
それにしても、さすがに建物の隅々にぐっとくる…。アテネフランセや日仏会館を思い起こしました。

部屋のすみっこを撮ってみましたよ。
大使館という一般人はおおよそ関わりない場所を、解体するにあたってこのような方法で一般に開放するとはさすがにフランスだなあ。

→「No Man's Land〜創造と破壊