live at unit

今日のライブを決定づける出来事。それは、ヤマジが「チューニング、疲れちゃったからやって。」と、ローディー氏にギターを渡したコト。これにはホントにびっくりした!ライブの流れをブチ切ろうとも、自分でチューニングを時間かけてやるヒトが…。"全身ギタリスト"的な印象を持っていたのだけど、ギターが無い手持ち無沙汰なヤマジにはなんとも違和感があった。今やお腹がぽっこりしてるし…。(もごもご)いろんな意味で時の流れを痛感してしまった。この顛末にはアンコールに壮大なオチが待ち受けていて、任せていたチューニングがズレていて(!)曲の途中でやり直す羽目に。それも2度も。うわー!ただ、この件も含めてヤマジの口調はかなりくだけていて、笑いを運んでいたのだけど。

で、そんな事態に成らざるを得ない空気があったように思えた。「serial」で始まり、the sludgeのカバーに「NERVE A-10」と続いても音にハッとすることがなく、まとまっていないようで居心地が悪かったのだなあ。。。
私も疲れていたのかもしれないけれど、引き込まれなくて体半分な状態だったとき、前の曲を引き継いで流れ出す浮遊感ある音の密やかさにドキドキ!ぎゃー。即興演奏のようで、えええコレは何?うわうわうわ〜としてたら唄いだして、beatlesのカバー「blue jay way」だと気づいた。元曲のサイケデリックなもあもあ感が重く響いて、スゴくカッコいい。唄が終わった後のギターノイズ大会にはもう、持ってかれて泣きそうになった。こここれですこれ!ああ、あと30分このままやってくれてもいいなー。ってコレは私の好みの話ですケド。

とはいえその後、ミドルテンポの曲が続いたけれど空気がなかなか変容せず、only onesのカバーなど挟みつつ、高速ですっ飛ばす「superlovers in the sun」に「mirrors」で沸点へ、ようやく会場が暖まったなと思ったところで終了…ええー!
長尺のワンマンではいつも旅をしている気持ちになるのだけど、今日はなんだか曲の流れがイマイチに思えて、ポイントがどこになるのかがわからなかった。新譜に感じた「軽み」が「緩さ」にならないと良いナア…。とはいえ、切れまくるギターワークには無条件にああっ!と高ぶって痺れてしまう。


dipの魅力ってなんだろうなあと改めて思う。スリリングでヒリヒリしたギターワーク? ポップながらもちょっと切ない唄もの? とろんと浮遊感あるサイケデリックさ? 新譜はこれまでの情報量が多く詰め込んだ感ある音から脱却し、そんな新しい方向性も好きなのだけど(「6/8」「URA」あたり)、前半の唄モノや「mirrors」のような従来の楽曲がそのまま混在しているから、そこがdipらしいと言えるとしてもなんだかモッタイナイ気がする。ライブではナカニシさんやナガタさんの音が存在感を増してポイントとなっている今、思い切ってクレジットを「dip」とした楽曲制作をしてもいいんじゃないのかなあ、客観的視点を持つ第三者たるプロデューサーや音づくりを深めてくれるエンジニアと組んだ上でねえ…と、単なる一ファンはエラそーに身勝手に思うのでありました。