Labo 18 / que

16を名古屋、17を大阪、そして最後18をお馴染み下北queで。
今日のヤマソロは「Labo」ではなく「Live」だった。
『パジャマでライブするなといわれたんだけど、このライブは部屋の中でやってるというスタンスだから』ーーーとはいえ「部屋で弾いているギター」を聞かせてもらうのではなく、「ライブハウスで演奏される音楽」を客として聴いた。
昨年9月のヤマソロ記録参照 → another labo tour - 音甘映画館



インストは3曲、どれも細やかなアプローチが美しく、ただギターが鳴っているだけなのに泣けた。なぜだろね。泣きのメロディだとか、刷り込まれた手癖はなく、反復されるリズムの中、この曲に相応しい研ぎ澄まされた音色がこの場で作り出される。そこに恐らくは感情は乗っていない。日々Laboの中で試行錯誤を繰り返した音がステージ上で今の空気を吸って「演奏」され、純粋なギターの弦の震えが私の胸を震わせたのだ。特に10曲目が好き。前回も思ったけど、音の鳴りが良い空間で聴きたいな。


打ち込んだリズムとタイミングが合わずやり直したときに『自分で入れた音なのに自分がつかわれてしまうという……』と、アナログとデジタルの話になり、『天気も今はデジタルでしょ?暑いか寒いか、ゼロかイチ』 
「こんな音でやって」という要望は伝えづらいから、デジタルで再現したほうが楽だろう。でも思い通りに行かないのは人間がやることだからこそ。
カニシさんのドラムとの相性の良さを「タイム感」と言っていて、それは長年の感覚ゆえだろう。デジタルでは表現できない極めて微妙な揺れのリズム。


1.「粘膜の宇宙」まさかの1曲目、びっくりした。いつもの「宇宙にひとりぼっち」感ではなく、たくさんの星を感じた。思い返せば「その感覚」こそが今日のライブだった。
2. インスト(先述)「rauchen」ドイツ語で煙。
3. Sylvie Vartan「Cherchez l'idole」ヤマジさんのフレンチポップカバー好き。後半は安井かずみ訳の歌詞で。声に出すと気恥ずかしい日本語の言葉も、歌に乗せれば軽やかに。
4. 戸川純さん用に書いた曲「nicked lake」とても重く悲痛な祈りに感じる。
5. Nico「Somewhere There's a Feather」4thアルバムに収録され幾度も聴いたカバーだけど、ジャクソン・ブラウンの良きソングライティングとしての面が立ってきこえた。今まで何故かそういうふうに感じたことがなかった気がする。
6. 「fireball loop」インスト(先述)
7. The Doors「Alabama Song」この曲を演ると空気が変わる。この後でだったか、「弦を張り替えた後の試し弾きはいつもコレなんだよね」と弾いたのが13th floor elevators、
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「これ弾くと弦の張り具合がわかる」。私はギター弾かないから残念なことにわからないけど、そういう「定番」は各ギタリストにありそうで、ギターマガジンでコラムないかしら・・・
8. 「Should i wait or should i out」9.「Too far to want」dipのなかでも特にウッとくるweekender期のこの曲でうーわ、もう泣かせる気か!でも今日は掠れるような切なさはなくて。しっかりした唄声だからかな。「このアルバムの時一緒にやってたテツヤさんに『船を漕ぐように弾くんだよ』と言われて」夜空にゆっくりと漕ぐ、船。
10. 「mile」インスト(先述)
11. Patti Smith「Because The Night」ファンも多いのか、静かに盛り上がっている雰囲気を感じた。かっこいい。
12. ラスト、と言って「Pink fluid」!!! 大好きなこの曲で最後なのッ!毎回サビの転調以降で泣いてしまうからワナワナと聴いていたらなにか足りないと感じたのは、ウネウネした流れにスパッと入ってくるドラムと支えるベースが無いからで、最後の「ウウゥッウウウッ」ってコーラスがないのも寂しかった。1人でもいいけど、やっぱり3ピースバンド、dipあってこそなんだよぅ・・・・そう思わせたことこそが、今日の「ヤマソロ」なのだった。


アンコール!
1.「歩き出したくなるかも」と始まったのは「Modern love」! David Bowieの、というよりも「汚れた血」の!!
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即座にこのシーン思い出す。あああ。で映像に引っ張られて終わることはなくて、歌の後のギターが!素晴らしかった!
2. 「slack」うろ覚えでこの曲じゃないかもだけど「dipの新譜ボツ曲」で、『現実の気怠さと妄想との違いを感じてる』というような歌詞のリフレインが印象的。


「3拍子の曲が好きで・・・」と「夜行少年」「human flow」といった自曲をちょこっと弾きながら、影響を受けた曲紹介あり。
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こんな素地があって、UKUSが重なって、ドイツも加わって、ロック・オルタナティブロック・フォーク・サイケデリックアンビエントと広がっていく。
www.offtone.in
10月に出演するフェス「CAMP Off-Tone 2023」は尾島由郎さんなどアンビエント錚々たるメンバーの中で、ある意味異色で系譜がまるで違うだろう。ヤマジさんの特異性は偏った雑種性で、そこにあるのは「ギター」。

帰りにナガタさんをお見かけして、内心きゃーっと叫び、dipを!よろしく!お願いします!!と強く訴えたいキモいファン心。

dip NEW ALBUM「HOLLOWGALLOW」
12/13リリース決定 ゲスト:レック、田渕ひさ子、細海魚
11/23(thu) 福岡UTERO
11/25(sat) 京都MOJO
11/26(sun) 大阪FANDANGO
12/05(tue) 渋谷QUATTRO
各チケット:9/23 10:00~ e+(クアトロは9/11 10:00~ 先行発売)

行くのだ!!