恵比寿ガーデンシネマ休館。

2011年1月29日(土)より、恵比寿ガーデンシネマは休館いたします。17年間ありがとうございました。

運営を担ってきた角川映画子会社の角川シネプレックスが、1月末で撤退することからのようです。
ここが開館して以来何度通ったことだろう。恵比寿駅から動く歩道をタッタカ歩いて、あるときは表参道からゆるやかに下る坂道をテクテク散歩しながらやってきて、フランスの古城を模した、ハリボテみたいに現実味のないガーデンプレイスの中でも最も奇妙なロブションの前の広場で買ってきたパンを食べてから、ふかふかの椅子に座って素晴らしい作品をたくさん見た。
上演後、余韻に浸りながら山手線沿いを歩いて、東急車輛との交差にワクワクしたり、一階がバス基地の都営アパートを眺めたり。館内でケイタイを落とした事に気づいて顔面蒼白で戻り、館員の方に探してもらったこともあった。
作品自体への思いも積み重なっているけれど、その前後の光景があるからこそなんだなってことに今更ながら気付かされる。
公開作品で印象にのこっているものを年ごとに1本づつ。
1994年:ショートカッツ、1995年:スモーク、1996年:ブルーインザフェイス、1997年:フラート、1998年:ガタカ、1999年:セントラルステーション、2000年:パリの確立、2001年:ゴーストワールド、2002年:ロイヤルテネンバウムズ、2003年:パンチドランク・ラブ、2005年:ライフアクアティック、2009年:夏時間の庭、2010年:あの夏の子供たち
幾年か記載がないのは、勿論見に行っているけれどそこまで…という感じ。むしろ重なるので泣く泣く落とした作品を挙げたい。
1999年:I love ペッカー、200本のタバコ、2001年:ギター弾きの恋、2002年:ゴスフォードパーク、ハイ・フィデリティ。2003年:10ミニッツ・オールダーはここで見なかったなあとか、そういうのもある。
挙げる作品がないくらい、数年前から上映作品の傾向が変わってきたし、ここだけでやる作品が少なくなってきた。だから以前ほど足を運ばなくなったのに、休館を「この何年か動員数が激減したから」などと報道されるのはやりきれない。


ちょうど時期的にイルミネーションがキラキラ輝いていて、見物客がたくさんいた。

ロブション。後ろの高層マンション、右側はURですよ。なんでこんなとこに。


お馴染みバカラの。これなんなんでしょねえ。
ここはいわゆるショッピングモールであり、その目玉として機能していた映画館も役目を終える。20年にも満たない期間で。これはそもそも恵比寿ガーデンプレイスという商業施設が提示しようとしていた「非日常」がズレたままだからで、そのハリボテ感ゆえのものではないかしらと思ってしまうのだけど。とうとう馴染めなかった、ディズニーランドみたいな作り物具合に。三越に入ってるショップは結構好きなんだけどねえ。


「クリスマス・ストーリー」も素晴らしかったし、もう一本のウッデイ・アレン「人生万歳!」も傑作との声が高いので*1最後に観に行こうと思っています。
【追記】こう振り返るとガーデンシネマとシネ・アミューズが無くなったのは痛いなあ。。。公開されない映画が増えたらイヤだよ。日仏とか朝日ホールで祭り状態で公開して「映画マニアだけが見た」だけとかね…。

*1:実はこの数作スルーしてて、これもそうするつもりだった