先月の展示鑑賞記録

2月末に出かけた展示のなかで、銀座をぐるっとハシゴした記録をまとめた、あくまでも自分メモ、なので長い。

Ian Anderson/The Designers Republic Come Home

「イアン・アンダーソン/ザ・デザイナーズ・リパブリックがトーキョーに帰ってきた。」、gggにて。これぞ「90’s」!トンネルみたいな会場内をくぐって、タイムスリップして、90年代の一時期の「あの感じ」を体全体で浴びた。バキバキに強烈で過剰で躁状態なデザインは、あの時代ならではだなあ。。場内BGMはAutechre。とはいえ私の脳内に一等先に回るのは、WarpよりはやっぱりPOP WILL EAT ITSELFな私。んでもってWipeout!この辺がかかってたらマジで踊りだしてたかもな。。。そしてHMVにWAVE、新宿リキッドに吉祥寺33に青山のYELLOWにManiac Love、店に置かれたフライヤーの数々がカーっと溢れてきてタマランですよ、まったく。キッチュでドキツイ過剰さこそが90年代におけるある種の異常さだよなあ。
This Is The Day...This Is The Hour... This Is This Looks Or the Lifestyle


今村遼佑展

90年代の渦のなかでぐるぐるになりながら外へ出て、資生堂ギャラリーへ。階段を降りるとさっきまでの濃厚な掛け算の喧騒が冷めて、ゼロ年代な引き算の静寂な世界へ。
新人作家を紹介するshiseido art egg、2月は今村遼佑さんのインスタレーション。何も展示されていない様に見えて、どこからかカタンパタンと「小さな音」が聞こえたり、ピカ・ピカと「小さな閃光」が見えたりする。内藤礼さんの作品を思い起こす「気配」を提示した作品。さっき見たTDRと比べると、ガラリと世界観が変わって、90年代と00年代の空気の違いがよくわかる。さほど広くはない場内のそこかしこに「しかけ」が施され、それを発見する楽しみもあり、白くて天井が高いここの空間に確かに合ってはいるけれど、ギャラリー然としたところだと、「日常と非日常の境目」というよりは、「つくられた不意」であり、「イヤミ」に感じられてしまった。食糧ビルのような場所で一館まるごと使って見てみたい。

ヴァレリオ・ベッルーティ展-KIZUNA-

ポーラ ミュージアム アネックスにて。イタリアの若手作家で、子供もモチーフにした絵画が中心。今回の展示にあたって日本に滞在し、出逢った子供たちを描いているそう。やわらかな描線で省略化され、どこか寂しげな情感を残す作風はこころの奥底をコトン、とつつきます。この懐かしささえ感じるのは、ヴァレリオさんが日本に来て感じ取ったものなのだろうか。新作アニメーション作品として、彼が描いた女の子がパラパラ漫画のように動く映像があり、坂本龍一氏によるオリジナル曲が使われています。
コチラ(リンク)で見ることができます。)

田幡浩一 「trace of images」

裏に回ってギャラリー小柳。どなたの展覧会か知らなかったけど、ここに行けば「出会える」から立ち寄った。田幡さんの作品を見たのは初めて。シャープな描線によるドローイングで、モチーフが「解体」され、断片が断続的に描かれることで広がる、洗練されたシンプルでクールなイメージ。でもどこかに可笑しみがあって、顔がほころんでしまうあたたかさも持っている。好きだなあ。妙に惹かれてしまう。こんなふうに何気なくふらりと入ったときの出会いはとても嬉しい。


あと、G-TOKYOのことも書いておきたい。今回は平日も開催されているのでギラギラであろう土日を避けて正解、空いてた。六本木上空ぐるりで東京のギャラリーを一巡り。ギャラリー小柳の「野口里佳さんと花代ちゃんの写真が並び、向かいにデュマスの絵画」って構成が素敵。ちょっと興奮した。ワコウのティルマンスにはびっくり。ついにここまで抽象化したかあ。画集じゃ出せない色。それと、オオタファインのさわひらきさんの映像はずっと見ていたかったなあ。投影方法も素敵!!!あそこだけ空気が違ってた。さわさんの作品には「今ココ」が一掃する穏やかなちからがある。監督したデヴィッドシルヴィアンのPV(飛行機がゆっくり飛んでいる映像)を見て以来、空に飛ぶ飛行機を見ると、ふっとスローモーションになるよな不思議な感覚に陥ってしまう。魔法にかかったみたいで。