On Tourの後の珈琲、カレーの後のザボーガー、みずのおとかぜのおとを聴いた夜

昨晩は銀座へ。銀座一丁目や新橋寄りではなく、和光の辺り、ど真ん中は久しぶり。シネスイッチで「さすらいの女神たち」を見た。「Tournee/On Tour」がこの邦題に。ヒドイよなー。マチューの監督作品ということで期待してたけど、ホンットよかった。冒頭からぐっと惹きつけられたところへこの曲!

キャーーー!sonicsを映画館の大音量で聴くなんて!カッコよすぎですがな。
登場人物が皆魅力的。ふとした表情の変化や彼らの何気ない会話がつくりだす「かたち」がとっても良いのだ。カメラの視線や距離が見えないものを豊かに伝えてくれる。窓からのやわらかな光や照明の煌びやかな光が照らす女たちの線も美しくて。そういうことが移動する風景に繋がって、これからを作っていくのだなあ。マチュー・アマルリックはふらふらと所在なさげに、自嘲気味に滑稽さをまとわって彷徨ってるのがなんでこんなに似合うのだろね。観客動員も好調なようで、しばらく上映続きそう。
外へ出るとザッと雨が降った後だった。寄り道したくなって珈琲屋さんへ。ここの空間の静けさや店主さんの気持ちの良い接客が心地よい。店主さんとお話したら発見があって嬉しかった。良い夢が見られそうな夜だった。


今朝は雨が降っていて、昼前に出掛けるころには止んだけれどどんよりしていた。
お昼ごはんのカレーには豚の角煮と大振りの人参が入っていた。角煮の脂身は苦手なんだけどここのは臭みが無くて、美味しかった。ユニオンへ寄ってから、「電人ザボーガー」を見に行った。Y氏がリアルタイムで好きだったから盛り上がっていて、私は付き添いだったわけですがね。観客の平均年齢は40代後半なんじゃないでしょうか、高ッ。話自体は予想外にシリアス一直線*1、あくまでもベタに過剰に真面目に作られていて、オリジナルに詳しくなくても楽しかった。勿論、思い入れあったら1000倍楽しかったと思う!今のクリアな映像だとチープなテイスト出しづらいから、そのへんが難しい気もする*2。イッツジ−の熱演がカッコヨカッタです。


移動して、住宅街のなかのギャラリーでサウンドインスタレーション。虫の声が聞こえてくる。水の音は遠い彼方へ連れて行ってくれるようで、見知らぬ世界がそこにあった。風の音ではどうしてだか、実家近くの神社の前の曲がり角に吹く風を思い出したのだった。そしてこの2つが共鳴して、場内を震わせて、波となってさざめいた。素晴らしい空間だったなあ。


帰宅して、録画しといた「お引越し」を見た。相米監督の映画は胸の奥をグアーっとつつくなあ。走る走る走る。移り変わる京都の風景の中で、自らの手で”受け入れていく”過程の、田畑智子のきりりとした愛らしさ。到達したときの静寂。まなざし。オメデトウゴザイマース。凄い絵だなあ…。ああ、それにしてもバタコ…いったいどうして…。

*1:その中での「笑い」がちと乗り切れない部分はあった

*2:ザボーガーがショボくないのねー!