永遠の僕たち〜Restless

今年の1本目は何にしようかしらと考えて、渋谷へ向かい、ちらりとセールを冷やかす。私が今欲しいのはシャツだからセールで買うものはないという結論が出て(今更…)、ライズへ向かった。

ガス・ヴァン・サントの最新作。冷たい綿菓子のようだった。ひいやりとして、甘くって、すぅっと溶けてしまう。
このヒトならではの「繊細で透明で希薄」な空気が漂っていた。時代背景が”現代”ではなく抽斗に閉まったアルバムを見返しているかのような雰囲気の、ファンタジックな冬物語
いつも通り音楽も良くて、スフィフィンくん(注:Sufjan Stevens このヒトの名前覚えられなくてこう呼んでる…)の繊細で凛とした唄声が映像とよく合っていたし、nicoの「The Fairest of the Seasons」!すでに涙腺が決壊してうわうわしていた身には殊更にぐっときた。ここで流れる曲がnicoなんて!”美しい季節”なんて!

何よりもミア・ワシコウスカ!私は「ベリーショートのオンナノコ」が好き過ぎるッ。かーわいい〜。ミアちゃんのくるくる変わる衣装がクラシカルで品が良くって、でも優等生ではない感じ。素敵だなあ。。。「ガス・ヴァン・サントの映画でオンナノコがかわいい」って初めてじゃーないでしょか。
まだ初々しくナイーブな印象のヘンリー・ホッパーも、最初にお顔を見たときにお父さんに似ててびっくりしちゃった。
この2人の「今、この一瞬の輝き」はずっとこうやって残るのだなあ。
そして加瀬亮も突飛で異質な役どころなのに自然な佇まいで、とても魅力的だった。心に残っているシーンは彼が登場しているところばかりだ。ヘンリーくんを諭すとこでひどく泣かされたのは、多分12月の「カーネーション」効果もあるだろな…。

なんとも若人向けな邦題が付けられていて、館内も20代後半のカップルが多かった。確かに「切ないラブ・ストーリー」でデートムービーかもだけど、”もはや若くない”世代向けかもしれないなあと今、思っている。
アオさやツッコミどころは最後のヘンリー・ホッパーの柔らかく幸せな微笑みを見ると、すとん、と心にあたたかな球体が落ちるのだ。彼の閉じた眼に浮かぶミア・ワシコウスカは、”ぷっくりとした血色のよい頬の女の子”なのではないかしら。”ヒロシ”は彼の心象でもあるのだろう。
そう、あれは「美しい季節だった」のだ。

”若手美麗俳優起用”とか”死の匂い”とか”空虚”とか”ファッションや音楽がオシャレ”とか、そんな冠つけるとそういえば…ってソフィア・コッポラ思い出したんだけど、受け取り方がこうも違うものなのねえ。。。映画で「気になる/気にならない」の線ってどこで引かれるのだろうね。