人生はビギナーズ

Beginners

Beginners

伏し目がちだけど誠実なまなざしをたたえる、いい映画だった。
何かをしているとき、ふっと子供の頃のことを思い出して(しかもお母さんとのあんな思い出!)、過去と今が行き来してブレてしまうあの感じに胸がぎゅっとしてしまう。エピソードがどれも印象的で、メラニー・ロランと出会い恋に落ちるくだりのロマンチックなことったら!あのメラニー・ロラン、マニッシュなあの姿がすっごく素敵だった。ちょう好み。憧れるわあ。ローラースケートのシーンとか、あーやっぱりこの映画はラブストーリーでいいんだって思うのだけど。
それと花火。ああいうほんのわずかなひとときのきらめき、ああいうのを持っていることってとても大切なことで、そういうことが人生をつくるのではないだろうか?
マイクの自伝的映画とのことで、劇中にユアンが描いているイラストは言わずもがなマイク・ミルズによるものですが、これまでギャラリーでお見かけした彼の作品と同じものがいくつかあったので、その頃のマイクの心象と今見ている映像とが繋がってことさらぐっと来た。
ホテルの長い廊下のタテのラインや家のがらんとした広がりとか、室内の流れの作り方だとかはとても構築的且つ感覚的で、服の着回しとかがいいなあって思う。サントラもさすがにナイス選曲だなあ。
にしてもまあ、”抱えてしまったまま”大人になり、親の死に直面するというのはなかなかにツライものだ。90年代にモノゴトを吸収してきた私にとっては、ついにこういう映画が、それもマイク・ミルズによって作られたことにふっと頭を叩かれた気分でもある。そして「彼らの生きる世界」はやっぱり遠い国であり、雑誌をめくって知るカタカナ文字の世界なのだなあと思わされたりもする。そんなところにもやもやを残してしまう。


バルトで見たのだけど、席はネット予約しといて会社帰りに本買って、レコ買って、パン買って、カレー食べてからようようと見に行けるから、魅力的なトコではあるんだよねえ。。。