ミッドナイト・イン・パリ

定時で華麗に会社を出て、喫茶店に寄る。大きなガラス張りのここは外と地続きのようで気持ち良い。通りを子供が駆け抜けはしゃいでる声と風が入り混じり、素敵なサウンドスケープ。お店のひとの感じもとても良くて、だからこそこの空間が生まれるのだなあ。ブックセンターとユニオンをさくっと見てから、Bunkamura。”文化村”ってスゴイネーミングセンスだ。

ウディ・アレンの新作を恵比寿ではない場所で見るなんて。久々のル・シネマは席がなんだか窮屈で落ち着かない、なんて気持ちは上映が始まればすっかり忘れてしまった。それにズバリすぎるほど「Bunkamura映画」だった!地下の美術館で「1920年代のパリ」の展覧会やってたら良かったね。
相変わらずの自分節を保ちながら、過去に手を振りつつ今ここで暮らし、未来に手を差し伸べているまなざし。歳をとってこういう映画を撮れるなんて素敵。しかも過去最大のヒット作、確かに観客が広がりやすい要素が多いかも。キャストも魅力的で、オーウェン・ウィルソンだからこそのチャーミングさも良かったな。嫌いな人は嫌いであろう鼻につきそうなトコも彼がいることで嫌味にならないというか。
全編に渡る心地よさにスイングする!フレンチカンカンが流れて胸踊りながらぐっと来て、拍手したくなった。青く浮き足立つ渋谷の喧騒も華麗にすり抜け、このまま歩いて帰ろうかしら。夏の空気。ふらり立ち寄ってお酒でも飲みたい気分だけど呑めないし、でもぷはーってしたいなあって、ウイルキンソンのレモン味を買って歩きながら飲んだ。半分も飲んでないのにお腹が膨れてしまった。


帰宅してこれが聴きたくなったのは、アルバム名の中の単語を目にしたから(単純)

ヨルダン・ザ・カムバック

ヨルダン・ザ・カムバック

マイ・ファースト・プリファブ。1990年に生まれた音を聴きながら、あの頃の私に手を振る。
窓から急に激しい雨音が聞こえてきた。あのパリでもこんな雨が降っていたなあ。