今年の音甘映画館 【映画編】

新作はこの3つを。

人生はビギナーズ
90年代にモノゴトを吸収してきた私にとっては、ついにこういう映画が、それもマイク・ミルズによって作られたことにふっと頭を叩かれた気分になった。エピソードのカケラひとつひとつがキラキラと輝いていて、こういうことのひとつひとつが自分を作るのだなあと思った。

桐島、部活やめるってよ
タイトル大喜利で話題になるも公開当初は観客震わずよもや…と思われたのに、まさかのロングラン。ベタな野球漫画のような展開を地でいく、あらゆる面で2012年を体現する映画。そして日常は続く。どの年代の、誰に対しても、誠実な描き方で好き。

・わたしたちの宣戦布告
終始、屹然と取捨選択し続ける姿勢が素晴らしい。これはあくまでも「わたしたち」2人の物語であり、わたしたちとは「わたし」と「わたし」である、”だからこそ”共に戦うのだよどんなことがおこっても、ということをぶれずに伝えてくれた、ラストシーンに至るまでずっと。


旧作でまず挙げたいのはホン・サンス!! 初めて見たホンサンス、「教授とわたし、そして映画」には強烈鮮烈シビれた…。最初、微妙だなあどうしよと思ってたけど、最後になんとまあ!動転動揺、とんでもなかった。続いて「次の朝は他人」、これにはひどく泥酔した。永遠に二日酔いが続きそうだ。実際は呑めないけど! スルッと忘れてまたシビれたり酔ったりして、、いやはやオソロシイ。この2本しか見れなかったけど、この2本もまた見たいし、ほかのも見たい!せっかくの機会なのに全然見れなかったことが悔やまれる。今度六本木でもやるけど、見に行けなさそうだよ…。

そして「白夜」を。映像の素晴らしさは言わずもがなだけど、配給会社の方の”留学先のパリで見て忘れられず、複数の権利者を探し当て契約にこぎつけた”という心意気に圧倒された。
そして隅田川野外上映会」。DVD上映ではあるけれど、自身の映画公開をどうするかと考えて作り上げた上映会として、とっても素晴らしかった。散歩と映画、私には泣きそうになるほど嬉しかったし、上映作品もとっても好きだった。主催の高野さんに拍手。
また「5 windows」も吉祥寺、渋谷と上映が広がった。この仕組みを街おこしに使おうと思うヒトがもしいたらやめといた方がいいですよ、と言いたいけど。

旧作については都内では非常に充実していて、あの作品が見れるなんてってこともしょっちゅうになった。新作も勿論素晴らしい作品が国内外で多くある。素晴らしい作品があっても公開されなければ(それも1回こっきりではなく)意味が無いのだよなあ。”産業”であるからには儲からないといけないのは確かだけど、そうではないところで生まれて育っていくことものが確実にあることを実感する。
数数多の映画作品から自分が見に行ける範囲で公開されることはごく僅かだ。そして公開されても、頻繁に見に行くことは不可能で金曜夜に1本なんとか見れればといった案配のうえ、旧作新作共に豊富だから上映日がかぶったりもする。デジタルとフィルムの問題もある。そんななかでどう自分がチョイスするかってこともすんごく重要になってきて、これまで以上一期一会なところもあるなあと。けっこうスリリング。