下北、吉祥寺、mark fry

昼過ぎから雨が弱く降ったり止んだり。まずは坂本さんの7inchを購入して、小田急東北沢駅で下車。地下ホームになったことをすっかり忘れていたので、ビックリした!ホームを出た電車は下北へ向けて急降下していく、その軌道はまるでジェットコースター並み。下北って「沢」というだけあってほんとに窪地だなあ。駅はまだ工事中で改札を出ても「ココ何処なんだ」状態で辺りをキョロキョロ。
閑静な住宅街の中を下北へ向けて歩くのだけど、車の往来が明らかに増えていて、交番とフィットネスクラブのある”元”踏切へ向かう道なりは歩くのが怖いくらい。スタジオがあるから機材を抱えた人もたくさんいるし、、、。時折行ってたケーキ屋さんもなくなっているし、空き地もあるし、再開発で変貌させたいのをジリジリと待っているような風景が続いていた。線路は徐々に取り外されている。いったいどうなるんだろね、と思いながら開場を待つ人がたくさん並んでるスズナリの横を通り、ユニオンへ行った。店内では「dreaming with alice」がかかっていた。明日インストアライブをやるらしい。


吉祥寺へ移動、夕方になると雨も本格的になり、仕方が無くドラッグストアで買ったビニール傘がひどい有様できちんと閉じることが出来ない。コンビニの卸は素晴らしいね…。カレーを食べて珈琲で雨宿りして、Manda-La2へ。
観客は意外と若い人が多かったのだけど、いわゆる2000年代のアシッドフォーク再評価な世代なのかしら。私がmark fryを知ったのは、ヤマソロ(dipヤマジカズヒデさんのソロ活動でのライブ)でカバーを聴いたことがキッカケ。囁かな響きがとても素敵で、「dreaming with alice」を聴き、とても好きになった*1。3rdが国内盤出たのは何故だっただろか、メランコリックな界隈でも見かけるようになったところで、なんと来日公演!シタールエスラジをdipにいたヨシノさんが演奏ということも個人的に感慨深い。


さて登場した御本人は、おじいちゃんと云える風貌ではあるけれどもさすがに英国紳士な御洒落さん。エンジに白の水玉のストールを巻き、ベストとパンツ。とっても素敵!現在は画家としても活動されていて、フランスで暮らしているそう。
前半はギター弾き語り、淡々と紡がれ、素直で朴訥とし柔らかな唄声。椅子は斜めに置かれ、MCでも観客を見ずに話す姿が印象的。音楽が非日常ではなく、あくまでも日々の生活のなかから滲み出ていることが伺えるようだった。ひとつひとつが丹念に綴られ、こちらに届く。2nd以降の音源から感じていたとおりの、温もりに満ちた穏やかさ。

後半のバンドセットでは「dreaming with alice」からの楽曲を中心に。まさに桃源郷へ誘われた…。英国の湖水地方の、蒼蒼とした草原に迷い込んだかのよう。バンドメンバーは日本で集めた特別編成で合わせる時間も無かっただろうけれど、素晴らしいアンサンブルだった。音響もアルバムでの霞みがかった空気が蘇っていてよかったなあ。曼荼羅2ならではの音触。
ささやかな毎日の糧であり、結晶となった音がそこにあった。

外へ出ると4月中旬とは思えない寒さ!でもこころはあったかく、帰路についた。
素晴らしいライブをありがとうございました。

*1:見つからなくてふと立ち寄ったonsaにあったんだよなあ。その後何十年かぶりに出たセカンド「shooting the moon」はsmall musicで遭遇して驚いた。かつての”時代の魔法”は溶け、しかし今の生活を感じさせる穏やかな空気に包まれる素敵なアルバム。更に2011年に出た3rdはreconquistaでその年の暮れに買ったんだった。抽斗に閉まったあの頃の魔法を思い返しつつ、穏やかに暮らしている日々が伝わってくる素晴らしいアルバムだった