今年の音甘映画館【音編】

Tiden [Analog]

Tiden [Analog]

渋谷タワーの現音コーナーで面出しされたジャケを見たときにスッと惹かれた。この盤から広がる音の粒子は浮遊しながらも時折驚きに満ちていて、美しい世界だった。いつ聴いても発見と安堵がやってくる。
Weighing of the Heart

Weighing of the Heart

変型紙ジャケの絵本のような美しい装丁はそのまま音に表れている。素朴で穏やかに且つ静謐な響きをたたえる洗練された音は、何処でもない音になった。優美だけど果敢に挑戦している姿勢が素晴らしい。
colors

colors

削ぎ落とされた音数のひとつひとつは研ぎすまされて、緊張感を宿した響きに痺れてからだは固まりながら脳波がジリジリしている。ジャケの抽象絵画もとても好みだけど、デザインワークにも意識的で素敵です。


濱田多聞/地方都市の憂鬱 -city and suburban blues -

(ジャケは濱田さんのサイト (←リンク)より引用しました。また購入も左記を参照ください)
くぐもった空の下に独り、諦念を持ちながらもどこか清々しく誠実でシンプルだけどヒネタ音から滲み出る余韻は、仙台在住の彼が綴った2013年の空気そのもの。沁みる。先日リリースされた新譜も購入せねば。


今年はマイブラに始まって、medicineにswervedriver(は曲単位ですが)、pastelsにsilver screen、mazzy starに嶺川さんまで・・・「まさかの」「○年ぶりの」新譜のオンパレードで面食らうくらいだった。でも今こうやって活動的になってくれるのはとても嬉しい。

そしてケヴィン・エアーズとルー・リードの訃報。好きなミュージシャンというのは、パートナーや親兄弟、友人や上司に恩師とも違う。でもそれらの存在を包括していて、誰よりもずっと私の傍らにいて、共に生きてきたんだなとこういうときに気が付かされる。とここに大瀧詠一まで……。


ほうぼうで目にする「2013年のベスト」を見るに付け、うーん・・・となってしまうことばかりで、でももっとたくさんいろんな音楽を聴いて楽しんでいる人は沢山いて、そして素晴らしい音楽を作っている人も沢山いて、どうやったらそれらが繋がるのかなと思ってしまう。
せめてショップのベストはもっと「こんな音を見つけたよ!だから紹介するよ!」という喜びに満ちて欲しいのにな。似通ったセレクトも「ドリーミーでサイケデリックな」とか「90年代オルタナガレージサウンド」も、お腹いっぱい。
【追記】各ジャンルに特化するショップではなく、オールラウンドなショップの価値を今改めて、なんだけどなー。


出逢い方が変わったんだといわれたらそれまでなのだけど、オールドタイプな私には寂しい状況になりました。なんだか自分にとってアンパイな音ばかり聴いちゃうのもイカンなー。
だから来年はもっと意識的に新たな音に、自分の耳と目と足と手で出逢いたい。