インサイド・ルーウィン・デイヴィス

Inside Llewyn Davis

Inside Llewyn Davis

これはとても好き。こういう作品、大好きだー!先週見てラストは狐につままれる感覚になりながらじわじわ〜と来てハッとして。もう一度見たいと思ったら武蔵野館では今日から18時台だけ何故か違う作品かかるみたいで、なんだよ!と地面を蹴って勢い余って、シャンテに行ってしまった。コーエン兄弟の作品見るの久しぶりだったヨ・・・

ルーウィン・デイヴィスは時代が変わっても永遠に空回りし続けるのかもしれない。でもずっと続けることでふっといい風が吹くかもしれない、それを捉えるか逃がすかもまたそれとして。
全体の構成もさることながら、場面転換のリズムが良い!パツッと切れたりすううっと入っていったり、それ自体が音楽的。
アパートメントの変なパースついてる廊下やシカゴへのドライブ道中など、どこか奇妙で夢のよう。フロントガラスに瞬く雪の輝きや森の向こうにたなびく光なども実に幻想的で魅惑的。それとすごく好きなのが、地下鉄車内の光景。ココ!ってのは書かないでおくけれど、こういうシーンって「ああこの人は知っているんだな」って思えてぐっと来る。
オスカー・アイザックキャリー・マリガンなど出演者が実際に唄っていることにも驚かされた。描き方もうまくて、ルーウィンの唄声はどこか耳にキツく、自分に向けてるからこそこちらに響いてこないのだけど、他の歌手たちは聴き馴染みが良く客側に向けて唄っていることがよく伝わってくる。すなわち前者は愚直であり後者はしたたかともいえる。
ルーウィンのtired, tired, tired……な果ての、でもやっぱりそうすることしかできないんだよって日々こそが実は時代をつくっている(繋がっている)のだ*1と、最後に登場した新たな唄い手の曲を背後にしながら思うのだった。

*1:個人的にはdipのライブ前後に見ただけに妙にジンと来た