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またしても変な邦題付いててうんざり。スパイク・ジョーンズの新作をシネマライズにて。最近かかる作品が迷走気味だけど、これはピッタリ。そういえば「ロスト・イン・トランスレーション」もここでかかったワケですが、下世話でもやっぱりアレを思い起こしてしまうのであった。レストランでのシーン、ルーニー・マーラのスタイリングがまさにソフィア・コッポラじゃんか!しかもカレンOも音楽で参加してるよッ!ついでにいうと、インタビューでおすすめの映画に「ノルウェイの森」挙げてたよッ!
人工知能を備えたOSが感情を持ち、という設定とその会話にタチコマを思い出したけど、まさに『情報の集合が個を獲得し、芽生えた自己の意思(「ゴーストが宿った!」)によって行動する』なんて、ね!
脚本もスパイク・ジョーンズが手掛ける今回の題材にはこれまでの作品を彷彿とさせるけれど、やっぱりチャーリー・カウフマンほどゾッとさせられる深い闇は持ち合わせていない。結局のところ「交際が長続きしないダメなボクの話を聞いてよ」な物語なのだ、なあ。小っさな世界観はどうにもヌルい…とむぅぅとしていたら、最後に掲げられた「●●に捧げる」で思わず声が小さく漏れてしまった。うわーズルいよ。。。こんなこと知っちゃうと、作中でも重要なポイントだった「The Moon Song」が再びエンドロールで流れると、歌詞の印象がちょっと違って感じられたのだった。
(追記)「温かくてでもひいやりしている色彩のなかでひとりぼっち、な」感傷に漂ってる時期を超えたものが見たい、のが今の私なのだと思う。元妻のキャサリンの変化のほうが興味深いナア。あの終わり方だとセオドアの中で解決してない気がするのです。またぐしゅぐしゅしてそう…。そんなヒトをホアキン・フェニックスが演じるっつーのが面白みに至って無いのが何ともカントモ。仕事では評価されてるけれどプライベートではどん詰まりで満たされない、のがスパイク・ジョーンズらしいトコロなのかもしれず。