九州には今年世界遺産に登録されたことで話題の、「明治日本の産業革命遺産」があります。その内の軍艦島については、以前の旅日記「軍艦島上陸!」を読んでいただけると嬉しいです!が、登録されていなくともまだまだたくさんの素晴らしい産業遺産があるのです。今回福岡で回った「旧志免鉱業所竪坑櫓」「河内貯水池堰堤・南河内橋」「小森江貯水池・取水塔」の3つについて、ギュウギュウに記録を綴ります!長くてスミマセン。
その1:ボク ハ ロボット?「旧志免鉱業所竪坑櫓」
3日間過ごした熊本からJR九州の在来線と西鉄を乗り継いで、福岡へ移動。博多駅に着いてそのまま路線バス乗り場へ。バイバス道路で降りて住宅街を歩いて行くと・・・
ウヒョー!あれは!と興奮気味に駆け込むと(実際は狭い道に車の往来が激しくてビクビク)、小高くなった場所にグラウンドがあり、その向こうに・・・
わー!
まるでロボットのように屹立する、旧志免鉱業所竪坑櫓。海軍で使用する石炭の採掘施設として、昭和16年から18年にかけて建設。ワインディング・タワーと呼ばれる形式の、エレベーターのようにかごを昇降させ運搬する仕組みになっていて、この形が現存しているのは世界でもここと龍鳳炭鉱(中国)、トランブルール炭鉱(ベルギー)の3か所だけだそうです。
→参照:「文化遺産オンライン」「wikipedia」
どこか哀愁と愛嬌ある姿は、かつては喋っていたようにも思えるのです。
けれどさすがに痛みが酷く、鉄筋が見えてきている状態。
戦後解体する話も上がったものの、費用が高額になることもありそのままになっていたところが、近年歴史的価値があると見直され、周囲を運動公園にしつつ保存されているようです。周囲では遊具で子どもがはしゃぎ、学生がランニングをしていたり、なかなかシュールな光景。。。
立ち去りがたく、しばらく何度も回っていろんな角度で眺め続けました・・・
さて戻ろうと、近くのバス停の名前が
!!! これ駅のホーム跡じゃんか!どうやら昭和60年に廃止された国鉄勝田線の志免駅があったようです。
こんな光景、すごいなー。
その2:赤い眼鏡の「南河内橋」
旧志免鉱業所竪坑櫓を見た興奮も冷めやらぬまま、福岡2日目の朝。博多から八幡駅で下車、バスに乗って市街地を離れて坂道をぐんぐん登って行き、団地を過ぎて他の乗客はいなくなり、淋しさを増した緑溢れる終点で下車。人などいない車道を歩き始めます。
と、見えてきたのは
石造りの城壁、ではなくて
ダム!
素敵。ヨーロッパの古城のようだー。
ここは河内貯水池。八幡製鐵所の工業用水確保のために設けられたものです。
更に進んでいくと、
廃アパートがあったりするなか、突如「レンタサイクルセンター」が登場。(100台はありそうなんだけど誰もいないのはまあ、平日ってことで。。。)ここで自転車という素敵な武器を手に入れ、颯爽と駆けていきます。
ダム湖沿いを走るサイクリング!自転車専用道路で快適です。
こんな石造りの橋が。
雑草がアレですが、こんな積み方の橋はなかなか無いですよね。美しい。
と、遠くに見えるのは
あったー!今回の目的、「南河内橋」!
こんなスレスレを走りぬけ、
キター!
カッコイイーーーーーー!
橋を渡った先には
こんな廃屋がまた・・・合宿用っぽい佇まい。
わあ!こちらからの眺めも素敵・・・
こんなママチャリで走っているんだぜ。
こんな道を音甘号は走るのだ。
見る角度によって表情が変わっていく。何度見てもホレボレしちゃう。
そして遠ざかっていく。大学のサークルだろうか、ボートが流れ行く光景が夏っぽくてよかった。なんか切ない……。
実はこの橋は、今年の3月に「近藤 太智 写真展:橋を旅する」を見た際に知りました。とても美しい形に惚れてしまい、いつか実際に見に行けたらなあと思っていたのです。この目で見ることが出来てとても嬉しい。近藤さんにも感謝です。
さて自転車を返して再び歩き始めてダムのとこに戻ってきたのですが、橋になっていて渡れるのです!
この石造りも素晴らしいなあ。
まんなかあたりにやってきた。
美しい・・・!
ライトが破損してたりもするけど。
周辺は春には桜が咲き誇るそう。
にしても7月下旬の炎天下のなか、汗ダラダラ&テクテクと歩いて行って
行きに降りた、終点のバス停に着いた!ああオレはまさか幻を見ているのか・・・
次来るの何分後よ?と時刻表を見たところで、ちょうど1台バスがやってきた。けど八幡駅方面には行かないやつで、終点は「イオンモール」とあり、ガックリしながらどの辺かと地図を確認したら、すぐ近くに駅がある!八幡駅のひとつ東側の「スペースワールド駅」! それだ!
ということで、予定変更して乗ったバスは途中で大きな団地前に停車。お年寄りが一気に乗ってきて、こんな山道の途中じゃ大変だなあと思ったところ、全員向かうは終点のイオン・・・なるほど。
隣接してるスペースワールド駅に到着。いやはや大冒険終えた気分であるのことよ。
・・・いやいやまだまだ続くのです。
その3:門司港から小森江貯水池へ
さて八幡駅から河内貯水池をぐるりと回ったのち、スペールワールド駅へ出てJR在来線で門司港駅へ到着。ふー。
わあーい憧れの門司港駅舎!!!と思ったら・・・
なんと!補修工事中・・・・えええええええええ(涙)
でも工事の様子が少し拝めたのでよしとしよう・・・
門司港を望むトコで休憩して
元「逓信省門司郵便局電話課庁舎」山田守の設計!以前書いた「東京都水道局長沢浄水場」と同じ建築家です。やはり縦のラインが美しく特徴的ですね。
さて次の地へ移動なのだけど、スマホで調べると、ここからバス1本で予定地近くに向かうことが出来ると判明、うーん便利な時代だねえ。30分ほどでしょうか。脇道に入り住宅街を抜けていくとこんな光景が・・・
丘を駆け上がると
わーーーーー!
赤い煉瓦が織りなす形が愛らしい。
ここは「小森江貯水池」といい、元々は明治時代に建設された上水道施設です。煙突は実は「取水塔」で、その名の通り”池から取水するためのもの”ですが、愛嬌があってかわいらしいナア。表面の煉瓦の色の変化で、かつては水が満ちていた昭和48年に役割を終え、現在は公園として整備されています。そういう経緯の所以なのか、公園とも里山とも言いがたい、不思議な雰囲気が漂っています。
まわりは草原。
こちらには海が見える!斜めになってるトコは実は堰堤ってことかー。
ああ……ここ、いいなあ。濃い緑の山に囲まれ海を臨む赤い取水塔。ふっと此処にやってきてぼんやりと時間を過ごしたい。 地元の子だと遠足で行くのかな。遠い九州の地にまたひとつ、私のヒミツの場所が出来た。このまま残って愛されて欲しいなあ。
さて帰り道。
気になる道。の傍らに
浄水場が!
明治の早い段階でこのように立派な上水道施設を構築したとは、当時の技術の高さが伺えます。
九州旅行の際は世界遺産に登録された施設だけではなく、今回挙げた「旧志免鉱業所竪坑櫓」「河内貯水池堰堤・南河内橋」「小森江貯水池・取水塔」も是非訪れてほしい!です!