私にとって一番大きな変化は、山本精一さんについてでした。これまで数多の活動をされてきた方ですが、どれもピンと来ていなかったのです。でも夏にヤマソロの対バンで聴いて、ウォッと心揺さぶられた瞬間がありました。後付では無理な、持って生まれて育ったものそのものがあるからこその今の音が表出されていることを感じたのです。そして新譜を聴きました。
- アーティスト: 山本精一
- 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
- 発売日: 2015/10/07
- メディア: CD
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そしてもうひとつ。
- アーティスト: Phew
- 出版社/メーカー: felicity
- 発売日: 2015/12/02
- メディア: CD
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私にとって音楽は逃げる場所だったんです。でも今年に入って音楽をつくっていたら、音楽が避難場所ではなくなっていると気づきました。「これからどうなっていくんだろう」という気分が、80年代のはじめに感じていた個人的な閉塞感とすごく似ている。だけど当時とは決定的に変わってしまった――そういうことを表現したかったんです。
→「interview with Phew ニューワールド、Phewのもうひとつの世界」
大ベテランの方の新譜を選ぶのはズルいけど……時代がここまで変貌しても自分の表現を貫き続ける「強さ」、鳴り響く聞こえない音を聞き取る「耳」、そして取捨選択出来る「覚悟」があるからこそ、つくりだせる音楽ではないでしょうか。音の鳴りに、2015年の日本を感じながらも自己の世界が屹立してる凄みがありました。