オレンジの光、オレンジの音

やわらかな光が差し込む窓の、茶色の木の縞の格子から覗く、オレンジの列車が走る様を眺めるのが好きだった。
特快だと速度が速くて嫌な音なのだけど停車して発車したところだと、がたごととゆっくり響かせて走り出すその音とオレンジの帯の流れがここちよかった。光に包まれてお茶を手に、ぼんやりと楽しむのだ。
この間のにちようびの午後はさすがに混んでいてカウンターだったから、窓に背を向けてしまうのがもったいなかった。でも後ろから聞こえてくる音は私を想像の旅へと駆り立てた。がたごとがたごと。
そんなおとっときの場所ももうじき閉じてしまう。ここで感じることの出来る光と音と色、出来るだけこころに刻んでおきたい。