MAKI OGASAWARA PHOTO EXHIBITION「旅の空」/E&Y HOUSE

shokou5さんによるコチラの記事にぐっと来て、行ってきました。(コレを書いてるのは11/10になりますが)全編に渡って引用したい、みぞおちをぐふんと殴られた気持ちになった言葉たちにひっぱられながら。
更に私にとってこころをびくんとさせたのは開催場所が「E&Y」だというところです。
E&Y!
以前南青山にあったデザイン家具ショップ。この店が出来て暫くするとコンランショップが新宿に出来て、今まで手に取れなかった「モノ」が目の前に降りてきたころだと思います。
例のごとく思い出話になりますが、E&Yはデザイナーによる椅子などをギャラリーのように展示販売していて、背伸びをしてここを訪れることはとても楽しかったのです。「近未来的」なデザインのマイケル・ヤングの作品には特に憧れていて、さすがにソファやテーブルは高価で購入はできないけどバッグ型の缶に入ったTシャツだとか買ったなあ。いつの間にか店がなくなり同時に生活が変化した私も熱心に追わなくなり、かと思えばイームズなどの椅子がブームになりブルータスなんかで特集を組まれたりしたものだけど、あのE&Yが駒場にあるとは!駒場も散歩道として思い出深い土地なのでびっくりした!東大側の道を通ることが多いからかぜんぜん気がつかなかった!E&Yのサイトを見たら南青山にあったのはわずか2年の間だったことに気づいた。そのたった2年の間にたくさんのことを吸収したってつくづく思う。(歳を重ねるとはそんなことの繰り返しだ。)


現在のオフィス兼ショールームはインテリア雑誌に出てくるオシャレなおうちにお邪魔するようで、ドキドキしながら中へ入り階段を上がると、踊り場のインテリアの一部として小笠原さんの写真が壁にかけてありました。
更に上へ行くとダイニングになっていて、吹き抜けになった階段のいちばん上には南青山時代に馴染みある椅子が!震える。。。
写真がランダムに貼られていたりポジが置いてあったり、、小笠原さんがこの「部屋」に住んでいるかのようにさりげなく飾られている作品たち。どこからか鳥の鳴き声や教会の鐘が聞こえてきてあら?と思いながら飛行機の写真を見ていたらちょうど飛行機が飛ぶ音がして、フィールドレコーディングかしら。。(実際は環境音楽を利用したものとのこと、飛行機は「本当に上空を飛んでいた」音であった!)


小笠原さんの「旅の記憶」は目に見え耳に聞こえ私に染みてきて境界線が曖昧になっていく、かたちあるもの消えて行くもの、あああ、いくつかある部屋を辿って行くことで旅の記憶が薄れゆく様を表している構成に、わたしのこころがリンクして写真と写真のあいだに漂う空気を彷徨い、わたしの過去(日常の/非日常の)が溶け込み浮かび上がっては消えて行ったのでした。わたしのなかの栓がぱちんと外れこの空気に包まれて泣きそうになりながらつったっていました。


この写真の空気とこの部屋の空気が共に同じ手触りとニオイと光を持っているからこそ成りたつ展示でした。そして私にとって薄れた記憶であるE&Yが私のなかに蘇り今再び足を踏み入れたことも大きいかと。
そして「今日のワタシ」としてケイタイでぱしゃりと撮った写真がネットに上げられ多くの人々に見てもらえるようになった今、単なる「記録装置」ではない「印画紙に焼き付けられた写真」の在り方と共に「どこで/いかに見てもらうか」、ということに新たに気づかせてくれたと思います。