雰囲気だけでない

最近は古民家を改装したお店が増えていますが、秩父でもそんな様子でこの数年の間にオープンしたお店がいくつかありました。
閉店したデパートなども残る市内でも繁華街であったあたりの路地を曲がったところに、

蔵を利用した店構えのごはん屋さん。地元の野菜をふんだんに使ったお洒落で家庭的な料理で、茹で方や味付けが絶妙!おいしかったな。東京から来た話をしたからか、時々ギャラリーで使っている2階に上がらせてくださいました。



す、素敵…。空気がひいやりとして、光の入り方がとってもよくて、ああ蔵ならではなのだなあ。



こちらは奄美大島出身の女性が始められた喫茶店。何故秩父で開いたのかはわかりませんが、奄美のアンテナショップ的側面を持っている様子。珈琲を中心に奄美の郷土菓子などを揃えてあり、黒糖を使った「ふてぃもち」をいただきました。

黒糖のクセのある甘みとねっちりした感触がすきー。珈琲には黒糖がついてきます。かじりながら飲むと味わいが変化して、広がる苦味と甘みを楽しみました。




買継商通りと呼ばれる一角がありました。織物業の隆盛により、近郊の織物工場が設けた出張所が集まった通りで一年中賑わいを見せ、近くにある秩父神社の祭りのときには絹市が立ち、特に活気に溢れたようです。



古くから印房として店を構え、「有形文化財」の建物を所持するオーナー母娘2人でやっていらっしゃるカフェがありました。紅茶好きのお母様がマリアージュ・フレールを取り揃え、デザートを作る娘さんはフランスで菓子作りを学んだそうでなんと、ヌガー・グラッセがある!きゃー!大好き!ということで勿論いただきました。おいしかったなあああああ。店内はクラシカルな調度品を揃えてありますが、よくある「お母さん喫茶」ではなく、センスが感じられて落ち着いた雰囲気でよかったです。


最近の「古民家カフェ」って大概20代〜30代の人がやってるけど、秩父のこの3店は、子育ても落ち着いたような40代後半〜くらいの女性が切り盛りしているのが印象的でした。サラッと見ただけだと天然生活なニオイもするでしょうが(あ!)、雰囲気だけの変な薄っぺらさがないのです。



最後にこちらは、着物好きな30代のご主人によるギャラリー・カフェ。秩父銘仙の織物が似合う昭和初期のモダンな雰囲気です。中に入ると、ふっとこの店だけの時間に入り込んでしまうよな、独特の空気が流れていて、これはご主人が持つものなのだろうなあと感じました。


どの店の方もとてもいい顔をしていらっしゃって、物腰が柔らかかったことが印象的でした。いろいろ吸収してきたことが「自分のもの」になった状態で、街の歴史を改めて認識し、もてなしていらっしゃることに感銘を受けました。
ふと気がつくとオズマガジンな内容でアレですが(うわー)、流行りではない部分でこういう店を汲みとっていただけたらと思います。