それは夏の終わりだった

Jardin Au Fou
Roedelius/Jardin Au Fou
ClusterのメンバーであるHans-Joachim Roedeliusが、1979年にリリースしたソロ・アルバム。繊細な旋律を奏でながら音の粒がゆっくりと冷房の効いた部屋で蒸発しながら拡散していき、それを浴びて私は生き返る。懐かしくそして新しい音は、わたしのこころの奥底を啄くようで、涙がこぼれそうになってしまう。


New Slaves
Zs / New Slaves The Social Registry
こちらは新譜。彼方から鳴り響く鼓笛隊のホーンに魅入られて列に加わって練り歩いてたら、いつの間にかどこか見知らぬ都市の地下室にいて、残響音がじいっと体に染み付いてきたら、嵐のような轟音ノイズに攻められて、ぐるんぐるんになって飛ばされて、これはいったいなんなのだ。耳にこびりつくのは、死者たちの声にならないうめき声。


月曜日は朝から体調が優れないなか、強烈な太陽光と冷房を交互に浴びながら歩き回っていたら、いよいよ夏バテかしらとからだが重く、続く火曜日はやることなすことダメなほうを掴んでしまい、にわか雨にまだ夏なのかと空を見上げ、ああすべてこの暑さが悪いのだとヤケになりながら聴いたこの2枚のアルバムは、私のなかにひどく染みいったのだった。そして今日、窓から入る風は涼しくて、もしかしたら昨日聴いたアルバムが夏を終わらせてくれたのだろうか、秋がようやく腰を降ろしてくれたのだろうか。