ミルク

ガス・ヴァン・サントがずっとこころに持ち続けてきた思いを、時代的にも自分の表現能力としても「今なら言える!」と、実在の人物ハーヴェイ・ミルクに託して撮った力作でありました。志半ばで死んでしまうこと前提でありながら、明るくって希望に満ちあふれている。これまでの作品を包括した上での新たな空気がありました。
ショーン・ペン演じるゲイのおっさんであるところのミルクがとってもキュート!でまわりのひとびとがトリコになって尽くしちゃうのわかるなあって思わせられちゃう。
彼だけじゃなくほかの登場人物もみんな、実に魅力的に描かれているのです。実際のニュース映像が挟み込まれて肉付けが更に増しつつもけっしてドキュメンタリー然としていなく、でも「彼らは確かにこの時代のこの場所に生きていた」という躍動感に満ちていてぐんぐんと引き込まれてしまった。だからこそ、エンドロール直前の「写真」がたまらなかった。。。過ぎ去った日々の眩しさとかそれを乗り越えた逞しさだとか、さっきまで見届けた戦いの日々と重なってボロボロ泣きましたよ。。。
そういえば、電話のシーン。ガスの映画にとってキーポイントだなあって改めて思いました。「今」ここにいない「あなた」と線と線だけでもいいから「繋がりたい」ってこと。声が聞きたいってこと。
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ところで銀座で見たのだけど、上映が「シネカノン」っていうから最初ビックカメラの上に行ったのです。そしたらここじゃなかった!今近くにもうひとつ出来て「シネカノン有楽町1丁目」「シネカノン有楽町2丁目」って2つあるのね!全然知らなかった!(遅すぎ)慌てて新館に向かうとそこはかつて「シネ・ラ・セット」があった地じゃないですか!真新しく武装された有楽町駅前、きらびやかなファッションビルの前に立ち尽くしてチョット目頭が熱くなりましたよよよ。珈琲のももやのおじさん、元気なのかなあ。