10月の終わり、11月の初め

10月8日 原宿駅出発でギャラリーと美術館に寄りながら歩行距離9キロ。鑑賞記録は別立てで。
ギャラリーと美術館を巡った2日間 - 音甘映画館



10月9日 晴れそうで晴れない。恵比寿駅出発でこの日もギャラリーと美術館に寄りながら、歩行距離12キロ。最後に4回目のワクチン接種した。4回目となるとスタッフの捌きもスルスルとスムーズに完了し晴れた心地。なのに外に出たら雨が降り出した。レコード屋に行くと店主に「え!さっき、旦那さんが来ましたよ。何故別々に、それも同じ日に来るんですか⁈ 打ち合わせでもしてるんですか?」と驚かれた。私もビックリだ。Y氏は2枚買ったらしいが私はレコではなく花を買った。



10月10日 今日も寒いんだか暑いんだかわからない。渋谷パルコで牛腸茂雄展。なぜここで?タイトルは「はじめての牛腸茂雄」、"はじめて"のって敢えて付くのは何故?と思ったら、企画は「ほぼ日」。ナルホドである。更に何故か和田ラジオを案内人として起用。牛腸茂雄の作品を模して彼が描いたイラストが使われている。想定客層の設定が謎すぎる。少なくとも若い子向けではなく、50代メインなのだろうか。不安になりながら中に入ると「鑑賞の手引き」な5分ほどの映像を見せられる。こんな視点の解説いらんわ!と心の中で悪態を突く。展示はアクリル板を使わないことをウリにしていて、ライトで光らないのは良いけれどこれは「写真撮影可」のための処置なのだと気付いた。撮影狂がいたらどうしようと思っていたけど、そんな人はいなかった。みんなひとりで静かに熱心に鑑賞していた。タイミングによってだろうけど(リヒター展の悪夢)。まあ、写真作品をスマホで撮る行為って興味深くて、ネットに上げるとかの「見た記録」なんだろうな。さて、作品自体にはもちろん罪はなく、アクリル板がないので生々しいのに「遠い」ところが牛腸さんらしい。 / 昨日のワクチン接種のせいか激下がりの気圧のせいかよくわからないけど、夕方急に怠くなり、ソファで寝てしまった。目が覚めると陽が落ちていてお味噌汁だけ飲んでお風呂入って、8時半に寝てしまった。


10月11日 昨日渋谷パルコのエスカレーターを下りながら不意に、「ズッカのショップが並ぶかつての幻影」が見えた自分が恐ろしいが、フロアに降りると空きスペースが目立ち、ファッション業界の今を改めて痛感。6階は家族連れで大盛況なのはニンテンドーのショップがあるからで、いずれ「渋谷パルコ」といえば「子供の頃ニンテンドーのショップ行ったなあ」って思い出になるのだろうな。/ 以前平野紗季子さんが「恵比寿から代官山に向かう交差点の角にあるのはシェ・リュイだと思っていたけれど、高齢のかたに『それ以前にあった駄菓子屋こそが自分にとってのあの交差点だ』と言われた」ことを綴っていて、めまぐるしく変わる東京へのまなざしを感じて今も時折思い出す。私にとって渋谷パルコの隣にあったのはユニクロではなく、a!chi!chi!なんだよというようなこと。



10月12日 「自炊のハードル」という話題を目にして、我が身を考える。料理が苦手なのはつくっても美味しくないからだけど、Y氏に「店のような美味しさを求めるからだ」と言われてまあ確かにねえ。食材を買うのも苦手で、スーパーの情報量の多さに頭と体がショートしてしまう。まあ、自炊は最低限の栄養摂取と割り切り、肉+野菜の味噌汁で充分だよねという話。



10月13日 「線と言葉・楠本まきの仕事展」隅々まで満ちる意志の表れに震える。生原稿に大好きなハロウィンのお話(lovecats!)があって嬉しい。戴いたチラシは蟹ちゃん!サインの部分に"黒マッキー感"があって素敵。階段にあるdip the flogとの対バンチラシに浮かれながら、10代にオンタイムで出逢ったことが今に続いている凄さに感謝する。/ 弥生美術館からスカイザバスハウスへ行き「李禹煥展」とってもよかった。木も紙も土も立体も絵画も版画も、一つの芯を持って試行錯誤し続け、どれにも彼の時間が流れている。そのあとは千駄木まで歩く。
弥生美術館・竹久夢二美術館
landschaftpublishing.stores.jp
www.scaithebathhouse.com



10月14日 私の鬼軍曹な眼差しが不備をキャッチしトラブルを回避できたので、ボーナスもらっていいと思う。



10月15日 六本木TARONASUから西麻布青山表参道、代々木公園抜けて代々木八幡へ出てから渋谷まで歩いた。/ HBギャラリーで箕輪麻紀子さんの「Film」素敵だったなあ。箕輪麻紀子さんの作品にはUSインディを聴きたくなる夏の終わりから秋の空気が含まれているなあとギャラリーで見ながらあらためて思った。/ファーガス・マカフリー東京での「Marcia Hafif: Change and Continuity」水彩作品が特に好き。鉛筆画の作品ももっと見たいな。SCAI PIRAMIDEでのメアリー・コース 「光で描く絵画」今後は天井が高くて広い空間で光を感じながらぽつんと見たいな。夜は渋谷、こんな時間に久しぶり。人の多さは変わらず。若い子が今の渋谷に来る目的はなんだろか。そして池田亮司のライブ。別途書く。
展覧会情報 | 箕輪麻紀子個展「Film」(東京・表参道) | EVENT CALENDAR | イラストレーションファイルWeb
fergusmccaffrey.com



10月16日 外国人旅行者が一気に増えた。円安だしみんなガンガン買い物してね…… と思いながら久々に"日曜"の蔵前へ。ギャラリーに行った後喫茶店へ寄ろうとすると、列!行列!が至る所に発生していた。蔵前もほんっとにカフェの街になり、どこも人気のようで驚くけれど、かといって表参道も下北も混んでいる。



10月17日 なんか体調悪いサイン出そうだなあという朝。昼前とても眠くて困った。



10月18日 朝外へ出ると寒くて驚いた。秋の空気もなく冬になるのだろうか。嫌だ。/ BSフジ(フジテレビでもあり)「アートフルワールド」 サウンドアートの会 後半 細井美裕さんの「(音が鳴る)場所」を捉えた活動が興味深かった。去年羽田空港での展示知らなかった!そうだよ、人のいない空港なんてめちゃくちゃ「音楽的」じゃんか! 大友良英さんのお話は「休符だらけの音楽装置」思い出したなー。都心の廃校の、屋上そのものが音楽装置になって、ひとつひとつのオブジェも、集まった見知らぬ誰かと誰かも、音になる。不思議な力に巻き込まれてこの瞬間でしか鳴ることのない音楽がそこにあった。2009年、あの頃は平和だった。
アートフルワールド〜たぶん、すばらしき芸術の世界〜 | バックナンバー 「自由すぎる芸術 サウンドアート」
アートフルワールド ~たぶん、すばらしき芸術の世界~ - フジテレビ



10月19日 出社直後から大トラブル、うちの係員がやったことではないのに対処に追われることばかり。私たちは怒ったり状況を調べたりだけど、上司は詫び&詫びで不憫すぎる。/ 父に電話「心配事が無くなったから、新しいお菓子をどうするかって考えたりしてやることいっぱいあって、1日あっという間だよ。楽しいよ」私を安心させるための方便もあるだろうけど、そんなことを話してくれて良かった。



10月20日 今朝は駅に行く途中の家の庭先の樹々の葉が赤く色づき朝日を浴びて輝き、昼は公園の高い樹木が真上の光を浴びて煌めき、夕方はエレベータホールの窓から見える西の空が青から白へ移りオレンジに染まりつつあった。そんな瞬間を逃さず見れたことが嬉しい。



10月21日 高層ビルのあいだの樹々の色彩が薄くなってきた。写真には映らないもの。でも心に映るもの。/野口里佳さんの個展、夜に見たくてもう一度見に行った。ギュッと突き詰める探究心が揺るぎないけど柔らかなまなざしで映し出されるのは、面白いなと思い不思議な力を感じてわくわくと見入りながらシャッターを切りギュッと捉えるからだろうか。動画は写真という決定的瞬間前後の、揺らぎ移り変わる様を楽しんだ。



10月22日 「クリエイション・ストーリーズ」を見る。感想は別途。映画館に行くことめっきり減ったけど、2時間ガッツリ意識集中するの厳しいと実感するし、休日の昼間の天気良い日はやっぱり散歩が楽しいし仕事終わりなんて疲れてるし、映画鑑賞って体力勝負だな。



10月23日 秋空が美しい1日だった。nidigalleryにてジョアンナ・タガダ・ホフベック "Dreaming About Tomorrow”よかった。「シードライブラリー」や織物作家、陶器作家との共同作品など、彼女が意識的に活動することで広がっていく。アートイベントでなくても可能なこと。繊細で柔らかい作風に強い意志がある聡明さがあった。

ジョアンナ・タガダ・ホフベックからのメッセージ】
『明日を夢みる』-気候変動、(ポスト)パンデミック、戦争と今の状況を考えると、この展覧会タイトルは、奇妙な励ましに聞こえるかもしれない。それでもこれが今回みなさんと一緒にやりたいこと。明日、明後日と続いていく日々を、明るく想い描くこと。夢みること。
(略)
この展覧会を訪れたあなたが、私がガーデニングをする時、誰かと一緒に庭にいる時に感じるエネルギーを少しでも感じてくれたら嬉しいです。それは好奇心であり、不思議に思うことであり、数ヶ月先や次の季節を待ち望むこと。種を植えるときはいつでも、将来に不安を覚えることなく、ただただ楽しみに思うのです。
nidigallery.com


10月24日 どんより暗い今朝のapplemusicシャッフルで、Walk out to winterが掛かってしまった……!!冬に向かっている!(ネオアコ季語)



10月25日 すっごく寒くてマジで冬に全速力で向かってるのを阻止したい。



10月26日 食事量増やしたく、コンビニで見つけた「もち麦満腹バー」をいうのを夕方食べたら、私には腹持ちが良すぎて夕飯食べる気にならず、寝る前なのにまだ胃重。もともと栄養補助食品食べると気持ち悪くなるんだけど、この商品は"主原料の雑穀を蒸してゼラチンで固めた"(と書くとすごい食べ物・・・)感じで、これならと思ったのだけど、雑穀や玄米は消化悪いからわたしには重いと再確認。砂糖不使用で油脂と食物繊維少ない消化良くて会社で気軽に食べられそうな間食の最適解は遠い・・・。



10月27日 昨日を持ち越してるのか台風が近づいてるからか、朝からぼーっと感があり、会社に行くと別人格が出るので大丈夫になるはずが目が3のままぼーっとし続けてしまいダメダメな1日だった。



10月28日 お昼、今日は遅めになるしご飯持っていかなかったので久々に外へ出ると、目当ての店に何人も並んでいたので諦めた。周囲はどこの店も満席で、オフィスビル内の飲食店フロアに行くと空きテナントがいくつもあった。どうしようかなと入口のメニューを見ると商品と金額と店内の雰囲気のバランスが私には取れていないと感じてしまう店ばかりで、どうせ残してしまうだろうしなと結局コンビニのおにぎりとお味噌汁になった。400円。



10月29日 雲無く晴れ渡る青空!まずはレコードを見に行くと、気持ちの良い青空のレコジャケを見つけた。90年代初頭のアコースティックバンドで、トラキャンやブルーボーイ好きにとのキャプションもズギュンで購入。その後の散策はまさにこのレコジャケが予言となって、清々しい青空と樹々と光に満ちていた。



10月30日 朝、「題名のない音楽会」でポストクラシカル特集。まだあまり知られていないジャンルとして初めて紹介するっぽい語り口に驚く。/ 今日は久々にY氏と出掛けて昼はお好み焼き。おなかいっぱいで歩き始める。歩く先々で行列の飲食店があって驚く。コロナ前もこんな行列ばかりだったっけ。/ 住宅街のところどころで樹木の葉が色づき始めていて、ぼーっと見惚れた。ああいい季節だなあ。/ はじめて伺った古本屋に入ったら、エリオット・スミスの"Waltz #2"が流れていたから途端にウッとなって、泣きそうになりながら、いかんいかんいかん、と棚を見ていたら、ああ落ち着く空間だなあと思った。本の傾向が私に近しかったからかもしれない。そしたら棚の上にエフェクターのfuzz aceが飾ってあってぎゃー!魂抜かれる・・・!ななななぜこれが・・・!その向こうにはCDがあって、店主さんの私物なのかもと思わせる一定の傾向があって、ドキドキした。本とCDを買い求めたときについついエフェクターのことを尋ねるとまさかホントにあのアルバムが好きだそうで、えええええ。嬉しい・・・。帰り道ではワルツ2とノーマンブレークが脳内再生していた。

www.youtube.com



10月31日 ハロウィンはTHE CUREのLovecatsで踊らなきゃね。「Kiss××××」の大好きなお話。このあいだ原画を見ることが出来て嬉しかったなあ。

www.youtube.com



11月1日 日曜美術館牛腸茂雄の回、友人である写真家三浦和人さんの想いを丁寧に綴り、牛腸さんの作品の素晴らしさを静かに伝えていてとてもよかった。牛腸さんが残した日記に書かれていた「ボクの作品は何度も観てあとからじわじわと感じてくるのだ」にグッときた。この間展示観た時に浮かんだ疑問が解決する部分もあった。今度全作品集が出るのね。



11月2日 昨日は日記書いて9時に寝てしまったが起きてもぐっすり寝たな〜感は無かった。夕飯はお惣菜買って済ませたいけど食べたいもの売ってない(何が食べたいかわからない)から結局スーパーに寄って豚汁の買い物をして帰宅。



11月3日 クッキリ晴れた祝日。生活工房にて「岡本仁の編集とそれにまつわる何やかや。」、relaxもスルーしてたし以降のアレコレにしらーっとしてる割に見に行って、関連印刷物も買ってしまったわけですが。/ 渋谷から歩いてgallery side2、サンティ・アレルッツォ、素敵だった。彼が生涯愛したメッシーナ海峡の、本来の強い光が彼の網膜を通してやわらかく穏やかな色彩で描かれる。もうこの世にいない彼が永年見続けて捉えた景色に今東京で辿り着くことができて、ほんとうに嬉しくありがたく思う。
www.galleryside2.net
ああこんな絵が描きたい、いや描けないなと思った。一朝一夕に出来るわけがないのは当然だけど、若い頃のいっときに、私は大きな油絵を描いていたのにな、今の私にはこんな色をこんな形を描き出すことは出来ない。そんなことも思った。/ その後喫茶店で、岡本仁さんの展示で買った「ART FOR ALL vol.20」を読んでいたら、河内タカさんが「見られたくない絵」と題して学生の頃を綴り、『描くこと以上に絵画が好きだったということもあるが、若い時に絵を描くことの喜びや葛藤を経験したことが、その後の自分にとって大きな財産になっているからだと心の片隅で思っていたりするのである』と結ぶ言葉に泣きそうになるのをそらそうと見上げた窓から秋の光がゆらゆらと輝いていて、見惚れてしまった。



11月4日 学祭のコピーバンドに、フィッシュマンズジャミロクワイを見つけて歴史を感じる。/ 昨日のいつもの喫茶店、1テーブルだけ2人組がいて大きな声でお喋りエンドレスでイラッとしていたら、シャッフルでかかっていた音楽にハッとして耳が澄み、私だけの空間になった。シガーロス、久しぶりに聴いたけど、繊細で強い。

www.youtube.com
以前から行きたかった店へ会社帰りに寄ったところ、ここは私の店です!と言ってしまいたいツボつきまくりで嬉しい。



11月5日 府中市美術館「アーツ・アンド・クラフツとデザイン 」美しさと品の良さを感じること、心と時間を掛けてつくること、時代を経ても愛され続けること、の大切さを今あらためて感じる。ウイリアム・モリスが起こした運動の流れをわかりやすく紹介し、理想とともに矛盾と苦悩を語り、今に繋がる問題であることを伝える展示だった。/ 樹木の色合いが変化の途中でちょうど良い頃だなあ。府中は緑豊かでいい街だ。
fam-exhibition.com