構築美〜田中一光と池田亮司

10月の土曜日、日差しをまだ強く感じます。青山からゆるゆると続く坂を下る。この界隈は「どっちでもない狭間」なエリアだなあ。
六本木のミッドタウンへ。”21_21 DESIGN SIGHT”にて開催の田中一光とデザインの前後左右」を見に行きました。

本展では、田中と仕事を共にしたクリエイティブディレクターの小池一子を展覧会ディレクターとし、琳派、浮世絵、伝統芸能など、市民の文化を熟知し、それらを視覚表現の主題として現代の創作に活写した田中の発想の広がりと表現の着地するさまを多彩にとりあげます。残された膨大な数の作品や資料を検証し、仕事の主軸となるグラフィックデザイン作品を中心に、原画や写真、記録資料など、活動の実際を示す貴重なアーカイブも紹介します。それらを通して、田中一光というクリエイターの人と仕事に迫り、デザイン思想がどのように展開し、表現されたかを探ります。

http://www.2121designsight.jp/program/ikko_tanaka/
ポスターが、氏のデザインワークが伝承されたようなキリリとした美しさを放っていて素敵。

多種多彩なデザインワークが展示されていてボリュームたっぷりだけど疲れる事無く、むしろ背筋が伸びてしゃんとします。添えられた説明は共に仕事した方ならではの視点で語られており、ただ鑑賞するだけでは気付けない発見と感銘が生まれます。
どれもとにかく「美しい」。洗練された美しさを持ちながらも、告知ポスターならば内容とその魅力が「わかりやすい」し、エディトリアルデザインは「読みやすい」。そして余白の美しさがあるのです。グラフィックと文字と、余白。それぞれの要素が巧みに配置された構築美。
田中一光といえば無印良品のトータルデザインが一番馴染みがあるでしょうか。元々はセゾングループアートディレクションを行っており、セゾン文化たるもののイメージを作り上げたといっても過言ではないでしょう。そして田中一光自身の美意識と思想が注がれたプロジェクトが無印良品であると思います。それと西武美術館などのポスターを見ていると、自分の中にこれらの素地があるなあというか、子供の頃から知らず知らずにセゾン文化というものに影響されてきたのだなあと痛感しました。


それから西麻布〜表参道〜渋谷をテットコ歩く。虫食いな土地や様変わりした店、立ち退き後に新設された道路、、、


シネマライズの、といちいち冠つけたくなるWWWにて、池田亮司「datamatics[ver.2.0]」を見ました。
2006年から6年に渡って挑み続けてきたプロジェクトの集大成とのこと。そうだ、前回見たのは2006年の有楽町での公演でした。

「C4I+datamatics[prototype]」→ http://d.hatena.ne.jp/mikk/20060608/p1
あと、現代美術館での展示もありましたね。
+/− [ the infinite between 0 and 1] → http://d.hatena.ne.jp/mikk/20090424/p1

その数年間のテクノロジーの変化を痛感させられるよな、映像と音像の感度の高さ。排するものは排して、研ぎすまされてただただ純粋な存在としてそこにあった。前回はサイエンスチャンネルみたいな映像が好きになれなくてもどかしかったんだけど、今回はデータのみ!な潔さ。
凄まじい音圧に吹き飛ばされた!不特定多数で座ってここにいるのに、ひとりで浮かんでいるようだった。
1時間ほどの中で、あれほど密な映像と音圧をからだいっぱいで浴びても疲れることはなく、むしろ体内の臓器が活性化されたような清々しさがあったのはさすが。。。この体感が抜けきらないままざわざわした渋谷の雑踏へ出るの怖かったけれど、逆にすごく気持ちよく歩けて驚きました。
素晴らしかった。次はどんなプロジェクトになるのか…。
最後にご本人が登壇されましたが、テンガロンハットみたいなのをかぶっていらっしゃったので、随分印象が変わったなあと思ってしまった。

それにしても、圧巻の構築美。まさにサウンドアートだなあ。さっきまで田中一光見てたから、余計にその美しさが感じ取れるように思う。
この2つ、続けて見る事ができてよかったな。