イチョウ団地はリトルアジアな多国籍団地

電車を乗り継ぎ辿り着いた駅の改札を出ると辺り一帯、閑散としていた。

閑散というよりも、あるべきものが無い。再開発のために区画整理され、駅前ならば当たり前にある商店が一掃されていたのだった。ヒトっ気が抜き取られた様子にちょっと目眩がしつつ歩いていると、唐突に木立のあいまの坂道になり、フッと人々が往来する姿が浮かんでくる。なんだかタイムスリップした気分。

そのまま進むと…

あ!

シンボルだね。

階段の淡い色合いがよい。

色づき始めたイチョウ。そして各棟の壁面にもイチョウが!


それも色合いを変えているの…!素敵!いちょう団地!

イチョウの葉をくわえた鳩も羽ばたいているのだ!写真ではとてもおさめられなかったけど、並んだ棟のなかをちゃんと移動しているような格好で描かれているのですよ…!と、ほくほくほあほあしていると

ああっ。


イルカと

カニー。

とにかく広い団地で歩いても歩いても続いてる。
なかにはこんなところも、、、

併設のスーパーは閉店し、いわゆる団地内ショッピングモールは昭和40年代あたりで止まっているような佇まい…。その中にアジア食材の店舗があった。

歩いていてすれ違うのは、なんとなく東南アジア系の方が多いかも。

団地に付き物の注意喚起の看板も、7、8カ国語で書かれていた!えー!

そしたら、あれは…

ちょっと!こ、これ!

裏に説明が…。教科書見てるみたいダヨ。

こっちもー。
広い団地内にはアジア食材の店がいくつもあったし、その先のスーパーの品揃えも普通は無いような調味料などが充実していた。中国のビデオソフトを販売している店やベトナム料理店や洋品店などもあった。かつて住んでいた方々の高齢化とともに多国籍化が進んでいる。こういう団地も多い事でしょう。
駅から離れた巨大団地は「街のなかの街」といった具合になるものだけど、ここはさながら「リトルアジア」として独自の街が生まれていた。
ぐるりと一周して、木立に囲まれたゆるやかな坂道を上がると、がらんとした駅前に戻ってきた。10年後、どんな街に変わっているだろうか。