ヘルシンキ・スクール写真展:風景とその内側

ここに書くときには既に終わってるものばかりな「館」ですが(あくまでも「自分メモ」ってコトで)、これは8月9日までやっています。昨日書いた「without records」も8/9までですが、どちらもとてもよい展示です。
先週行った銀座資生堂ギャラリー。この日も暑くて暑くて、ビルに囲まれたアスファルトの上を歩くのにもへとへとでしたが、館内に入り階段を下りるごとに背筋が伸びてゆき、北欧のキリリとした風が吹いてきました。


フィンランドの「ヘルシンキ芸術デザイン大学」の独自カリキュラムが生み出した「ヘルシンキ・スクール(ヘルシンキ派)」の4人の女性カメラマンの写真を紹介しています。
北欧といって思い起こす「薄い色素」「柔らかいような硬いような光」「研ぎすまされた空気感」が広がる素晴らしい展覧会でした。展示にアクリル板を使うことで各作品の質感の印象が更に増し、非現実感が醸し出されています。


ティーナ・イトコネンの作品は、グリーンランドの氷河や北極圏に住む先住民族を映しています。パリリと割れそうな空気が伝わってきて、こぼれる息は氷のカケラみたいになるのでした。
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サンドラ・カンタネンの作品は、湖や森の樹々を写していますが彩色を施していて、不可思議な印象が残るのです。具象と抽象が混じり合い、溶けた色のなかに私も溶けてゆくみたい。今回の4名のなかで特に好きです。
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スサンナ・マユリの作品はドラマチック。水中をぶくぶく漂っている状景はストーリー性があって、ファッションフォトやPVの一場面のよう。背徳感があってドキドキしました。
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アンニ・レッパラの作品はとってもガーリー。少女特有のかわいらしさと不気味さと不安定さが表れていて、サイズがバラバラの写真の配置が絶妙。一軒家の素敵なギャラリーで個展を見たい!1981年生まれということで彼女がティーンエイジのころ、「90年代後半」に吸収したものが詰まっているなあって嬉しくなりました。


フィンランドの光は、何故こんなにも繊細で澄んでいて漂白されたように消えゆくひとりぼっちの世界を映し出すのでしょう。立ち去りがたく、ずっとずっと眺めていました。このあとパーラーでパフェを食べたかったけど我慢の子なのです。
http://www.shiseido.co.jp/gallery/current/html/index.htm