純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代―機能主義デザイン再考


BRAUN社のデザイナー、ディーター・ラムスが40年以上にわたりデザイン・監修してきた500を超える製品を紹介し、そのデザイン哲学に迫る展覧会。当初、大阪のサントリーミュージアム天保山にて開催されたので「見たいよう!」と歯ぎしりしてたけど巡回展してきてヨカッタ!

ホンットかっこよかった。シンプルで研ぎすまされたデザインの数々、「機械」がそこにありました。オーディオ機器〜プレーヤーやアンプやテレビなどうっとりしながら眺めました。ただの四角い箱にツマミがポイントになってるだけ、なんだよねえ。ああ素敵。
展示構成もラムスの哲学を反映したような美しさで楽しかったなあ。
BRAUN社の製品を初めて意識したのはoliveかmc.sisterで「そばに置きたいもの」として、「BRAUN社の目覚まし時計」を紹介していたことです。当時私が使っていた宇宙百貨のチープなネジ巻時計とは真逆の佇まいがそこにあり、いつか使おうと思いながら結局手にしていませんが、今もなお変わらないデザインで市場にあることが素晴らしい。

ディーター・ラムス「良いデザインの10原則」

  • 良いデザインは、革新的である
  • 良いデザインは、製品を使いやすくする
  • 良いデザインは、美的である
  • 良いデザインは、製品を分かりやすくする
  • 良いデザインは、謙虚である
  • 良いデザインは、誠実である
  • 良いデザインは、恒久的である
  • 良いデザインは、細部の細部まで一貫している
  • 良いデザインは、環境に優しい
  • 良いデザインは、できるだけ少なくなる

ユニバーサルデザインが叫ばれるようになり、最近日本でもようやくラムスの言葉が見合うものが出て来て、時代というものを思わされます。(今回の展示に影響化にあるものとして深沢直人デザインやapple社製品が、最後に並んでいました。)
しかし、思ってたよりもこの展覧会が話題になっていなかった印象があるのですがどうでしょうか。10年前ならブルータスやボイスなどで特集が組まれたのでは?インダストリアルデザインの展示に留まらず、音楽や建築、はてまた家電まで、「シンプルなライフスタイル」という定義にも繋がって来る意味あるものになると思いますが、そうはならないのが今、なんだろうなあ。
「デザイン」と「絵画」のあいだにすら溝があり、「音楽」や「文学」「映画」などそれぞれが分断されているように思えるなあと空いている会場を後にしました。