「結婚して長年住むなら府中」とよく上司が言っていて気になっていたのですが、仕事でちょっと訪れたことはあってもぐるりと散策したことがなかったので、府中市美術館に行きがてら街を歩くことを楽しみにしていました。
府中は京王線新宿駅から最短で約20分、市美術館は駅からは徒歩30分程度かかるようでバスも出ていますが私は当然歩いて向かいます。
駅前は伊勢丹など商業施設が並び、美しく整備されています。
北口を出て少し歩くと桜並木がありました。
緑が濃く茂り、今日の暑い強い日差しを遮ってくれます。
こんなかわいらしい絵本屋さん。こういうお店があるのは嬉しいなあ。中へ入ってしばし物色。私の地元にも児童書専門店がありよく通ったものです。外へ出ると、珈琲のニオイがしてきました。
自家焙煎珈琲豆屋さんが。アイスコーヒーを出してくださいました。とにかく今日は暑いので、ほっとします。
「南方郵便機」というサン=テグジュペリのデビュー作から付けた店名を持つこちらは、深煎りの豆を中心にされていて接客も丁寧でとても良いお店でした。今いちばんのオススメというルワンダ・フレンチが切れていて残念でしたが、ブラジル・フレンチを購入しました。濃厚でしっかりとした味わいの豆でした。
再び歩き始めます。
造型としてぐっとくるダストボックスは来年廃止されるようです。
中央文化センター。立派です。やっぱり公共施設が充実しているなあ。通りには「→○○公園」というような標識が所々にあるのも、考えられていて素晴らしいなあ。
暑いなあと汗かきながら歩いていると、府中の森公園に着きました。
園内にはよくコンサートが行なわれる府中の森芸術劇場もあります。広々とした公園でとても気持ちが良いです。
都内とは思えないこの空気感!ああいいなあ…。
滑り台など遊具が並ぶ公園からはコドモたちのはしゃぎ声がします。
かわいいリスさんもいますけど
は、白菜?
なんでだか野菜がゴロゴロと…。こんな遊具初めて見ました。。。
その向こうには屋台が軒をつらね
ようやく美術館に辿り着きました。
この建物もとてもキレイです。展示を見て、再び歩き始めました。
看板が目に留まった提灯屋さん。筆を入れているのが外からでも見えました。
住宅街をするすると歩いて、けやき並木がありました。
歩道も充分に取られたこの道は府中の印象を強く決定づける、静かでいい佇まいでした。歩いていて気がついたのですが
、もともとは駅の南側にある大國魂神社の参道だったのね!しかもこのケヤキ並木、国の天然記念物。現在は個人商店やスーパーやチェーン店が並ぶ駅前商店街として活気に溢れていて、「参道」をよくこんな風に開発できたなあと驚かされました。
京王線の高架が見えます。
大國魂神社は大きくて立派な神社で起源は111年!現在創建1900年に向けて周辺を大改修していました。この神社を基点に府中が発達していった事が大いに伺えます。
カワイイ!公園の入り口にて。実際はコドモはいなくてゲードボール場と化してました。
またしばらく歩くと遊歩道があったのですが
廃線跡らしい。
おお!線路が残ってる!!きゃー。
またしばらく歩くと
1階と2階のあいだの部分が印象的な酒屋さんがあったり。
その先の分倍河原の駅の裏道をチョコチョコ通ったら
素敵なうちだなあと思ってついつい眺めてたら、喫茶店を兼ねていたので休むことにしました。
カウンターキッチンのあるリビングのような店内は家そのもの。なのだけど壁際に天井までずら〜っと「ミュージックマガジン」のバックナンバーが並んでてエエエエエ?とひっくり返りました。更に奥に中2階に上がる階段があったのですが
とまあ、CDとレコがズラズラズラリと…!圧巻…!60〜70年代ロックが中心のまさに「ミュージックマガジン」セレクトで、中にはXTCだとかもあったりして。60代前半くらいのかたかなあとお見受けしましたが、会社を引退してこういう店を開いたのかなあと想像すると、ああ羨ましい…!
お店の方にお話しして写真を撮ることを許可していただきました。
昼間は近所のマダムが来店するからかいわゆるBGMがかかっていたけれど、夜はバータイムとしてjazzが流れる大人な空間のようで、近所だったら楽しいのになあ。「森のカフェ」というお店です。
と満喫して、漸く府中を後にしました。
ぐるっと回っただけではありますが、「住むなら府中」という言葉を実感させられる街並みでした。
いくつか入った店はどこも個性的で素敵な店主さんがいらっしゃり、「上司が住むなら府中だと」という話をさせていただいたのですがみなさん「そうなんですよ〜」と素直にやわらかい笑顔で言葉を返してくださることが印象的でした。
「いや〜そんなことないですよ…」と言うのではなく、「いい街ですよ〜。通りに緑が多いし公園も多いし、買い物にも困らないし…。」とこの街を愛して住んでいらっしゃる姿が素敵だなあと、私もいつか住むかしら?と電車に乗りながら思いました。