蟲と亀と本と音楽の店

倉敷にも新たな空気が吹いています。

立ち並ぶ古民家のなかの古本屋さん。麻の暖簾がひらひら揺れる佇まいはどこか「ニオウ」。ここは違うぞ、と誘われます。
小さな店内には様々なジャンルの書籍がビッシリと詰まっているのですが、清潔感があって風通しがよいのです。やわらかな光が広がっていて、背筋がしゃんとしつつ穏やかなこころもちになるのです。
陳列された書籍のセレクトにもピシッと筋があり、旅先で出会うなんて!なものがチラホラと。CDも置いてあり、それがまたワタシのココロ鷲掴み!ここでモダ〜ンでペダルなメンツにお会いするとはとは。
そのほか植物やら鉱物やら亀やら…たくさんの愛らしいものが仲良く並んでいて、この空間は店主さんそのものなのだろうなあとレジを見ると、ぱっつん前髪で三つ編みにメガネの華奢な女性で、ああっ!まさにこの空間にぴったしのお姿でドキドキしてしまいました。
店内のチラシを見ると展覧会やライブも開催しているようで、この店でたくさんのことを吸収する若者は多いんじゃないのかしら。CD棚を熱心に見つめる若い女の子がひとりいたのが、印象的でした。
1994年に倉敷駅前で開店し、2000年にこの地に移転されたそう。ご自身の手持ちの書籍を元に始められ、当初はご苦労も多かったと思いますが、ささやかに光を灯し続けてようやく根付いたように感じます。店主さんが「芯」をがきっちりと持っていらっしゃり、自分にも周囲にも誠実に、ぶれずに続けていらっしゃったからこそではないでしょうか。
思えば古本屋というものこそ、本という物理的なモノを媒介して「世代が継承される場」であり、ああ、この店は古きものと新しきものが共存して呼吸しているなあときもちよく、名残惜しく、お会計を済ませて店を後にしました。