東京山の手ぐるり散策

今日はギャラリーをいくつか巡ったのだけど、行く先々の街並みもひとつの「展示」のようだった。
まずは大江戸線に乗車。幅が狭くて、天井が上すぼみで角マルな車体が、窓の向こうギリギリのトンネルをゴーッと進んでいく様は、地下鉄というよりは”昭和に夢見た未来の乗り物”っぽい。赤羽橋のホームの壁、ガラスブロックでかっこいいな。

湾岸下町エリアに到着。地下から外へ上がると立ち並ぶ高層ビル群にクラクラする。なななここはいったいドコなのか。駅近くのギャラリーに寄って「音と光」を楽しんでから、ちょっと界隈散策。

この土地の昔からの匂いと新しい匂いが入り混じる。

街にズドンと突き刺さってる。


ビルに囲まれてポツンと低層の建物が。

除却される都営アパートがありました。
1階が保育園、既に閉園。


がらん、としていて子供たちのはしゃぎ声など聞こえない。

「不要」と書かれた道具たち。奥には三輪車。

時間の流れは止まっているけれど、外から早く早くと急かされている。


再び大江戸線に乗って、下町から一気に山の手へ。
江戸時代は武家屋敷が並んだ辺り、立派な門を持つお屋敷の石垣に沿って風情ある坂道を歩いているとぶわっと「かつての時間」が襲ってきて、こういう瞬間がやってくることが散策してて嬉しい。今ここの、自分のヨコに流れる時間軸とその土地が重ねてきたタテの時間軸が交わる感じ。
でもその先に高層マンション建築中。住人と紛争問題になっているようだ。

いつの時代もこうやって変わっていくのだろうし、私には縁もない街だけど、土地の匂いも無視して無秩序に建てられることがどうにも気持ちワルイ。でも変わったら変わったでそのまま何事もなかったかのように進んでいくのだろう。
ゆるやかな坂を下りて路地を進むと、ガシャゴトと輪転の回る音が聞こえてきた。小さな印刷工場が多いのだ。刷り上がりの山を運ぶ黄色い車。年末で特に忙しい頃だねえ。この音をすり抜けながら秘密基地でぼんやり。2人の店主へ年の瀬のご挨拶。


再び地下鉄に乗って。でも地上を走っているよ?

南下して、セレブなイメージのある街へ。でも駅を降りた界隈、主要道路から外れて路地を進むと商店街があり、町工場や古い家屋が並んでる。高台の、武家屋敷跡〜財界人の邸宅があるエリアこそ高級住宅地だけど、川沿いの低地は庶民的な街なのだな。

やっぱり再開発で一区画まるごと高層マンションがあるけれど、敷地内に「工場棟」があり、以前から地区内にあった町工場が集約して入居されているよう。ただ真新しくするのではなく「地場産業を保護」しながらの再開発。

まるちゃんは移転後初訪問。並んでない…嬉しい…。前は並ぶようになっちゃって行かなくなったから、いつぶりだろうか。キリッとしてるようでゆるい雰囲気はそのままね。

ギャラリー、3つ立ち寄って。ここで見た展示が今日の散策に通じるところがあって、驚きつつもとってもよかった。「変貌する現在進行形の景観」を闇雲に嫌悪するのではなく、柔軟に捉えていくこと。また改めて記したい。



空が暗くなってきた。丸い柿がドットのように空を飾り、その向こうに白い月が見える。

バスに乗る。いつもなら余裕で歩く距離だけどもう陽も暮れたのでおまかせしちゃう。我を連れて行っておくれ。今日は、点と点のあいだの「線」を味わうのではなく、移動を重ねて各点を楽しんだ散策だったな。それぞれの点をゆっくり歩くためにまた、来よう。