芦川いづみ3本勝負!

神保町シアターにて芦川いづみ出演作を立て続けに見ました。

【あした晴れるか】

あした晴れるか [DVD]

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まずは特集「女優とモード 美の競演」にて。震災の影響で中止になったところ、復活上映されました。めでたい。
”いづみちゃん”の大きな黒ブチメガネがホンットかわいい!!マニッシュな格好がとっても素敵!!宣伝部社員でプライド高く男勝りな役どころで、終始スラックス履いているんだけど絶妙に「ヤボッかわいい」のだ。「the 事務員」な青系の襟なしスーツも、スラっとした躰で足首がちらりと見えて、あれ?素敵だわ…。ベージュのパンツスーツなんてハードル高いのも、スッキリ着こなしているのだなあ。あれ似合う人ってなかなかいないよ!あと、エスニック柄みたいなシャツもかわいいし、もこっとローブなジャケットも見るからにいい生地でお洒落なのです。
自動車会社がスポンサーの企画「東京探険」のために、車に乗って都内の取材に出るという筋書きで、秋葉原のやっちゃ場(そうそう、昔は青果市場だったんだよねえ。私がよく知ってるのはその後のバスケットコート時代だけど)、銀座、深川不動尊、佃の橋ゲタ…そんな風景が写るたびにウワー!と興奮してもう、たまらなかった!!
監督が中平康ということでモダ〜ンな風合いのはずなんだけど、なにしろ主人公のカメラマン役が裕次郎なもんで、ねえ…。この人がしゃべるたびに笑えて仕方がないよ。。。


東京マダムと大阪夫人
続いては特集「可憐な娘(ひと)たち 守ってあげたい〜芦川いづみ 胸がときめく〜司葉子」にて。川島雄三監督作品で、東京郊外の社宅を舞台にしたコメディ。べちゃくちゃしゃべりまくる”マダム”達が住む「あひるが丘」という街の設定がオモシロイ。昭和28年の時代背景では、社宅と行っても平屋建てなのですよね。東京オリンピックを契機にいわゆる「団地型」の集合住宅が建設されたから。それにしても奥様たちの「アメリカへの憧れ」に時代が見えたのが興味深かった。アメリカ赴任を巡る珍騒動がメインのストーリーなんだけど、ついこの間まで「憎い敵」扱いだっただろうに、こんなにもころっと変わるもんなんだなあ(勿論揶揄る部分があるのだろうけど)。
いづみちゃんは月丘夢路扮する「東京マダム」の妹役、控えめでおとなしい役どころはまさに「可憐な娘」。私にはちと物足りず。。。北原三枝演じるチャキチャキっとしたお嬢さんっぷりがスキ。


【誘惑】
中平康監督の隠れた最高傑作として話をよく目にしていたこの作品、さすがにオモシロカッター!コニタンがいらっしゃいましたよ…(映画見る間に寄ったふくろう店でもお見かけしたのですが)
語る部分が多すぎるほど密度濃く、次々にいろんなことが押し寄せるけど、さらりとしててスッと終わるところがスゴい。主人公のチャキチャキ娘 左幸子を中心に、銀座でネクタイ屋と画廊を営む父親や、若き芸術家グループなどなど世代を交えて沢山の濃ゆい登場人物たちが繰り広げる群集劇。彼らがそれぞれに心情を小声で呟きながら、まるで輪舞曲を踊るようにくるくる話が回っていく、その見事なこと!ラストの着地点がもう!(でもちょっとヤダー…。いづみちゃん、母思いのいい娘すぎるだろー!いいのかー!)
画廊のある銀座の街並み、純喫茶、左幸子の家の前のバス停は麹町四丁目だったかしら。そして生花教室は湯島天神前バス停下車、長い緩やかな坂道沿い。羽根木のアトリエの窓の向こうには井の頭線が走ってた。こんなふうに当時の街並みを知れることはとっても嬉しい。ぶわっと今の風景が重なって、鳥肌がたつ。銀座が写るたびに誇らしげな和光の時計台は素晴らしいなあ。
いづみちゃんは後半ようやく登場、一気にかっさらうかの如く、輝きが眩しかった。けどこちらも「控えめな娘」で、私には物足りず。むしろ渡辺美佐子の変貌する様がとってもキュートだった。


この3本見て、やっぱり私は「清楚で可憐」な守ってあげたいキャラよりも「マニッシュ」なキャラのが好みなんだなあとしみじみ。「あした晴れるか」が強烈すぎましたわー。芦川いづみさんも北原三枝さんも結婚後引退されたことが惜しいなあと改めて思う。