「東京の恋人」に見る勝鬨橋の開閉シーン

東京は雨でした。こんなに降るとは思ってなかった。気温も下がって、道行く人々の格好も変わりました。
でも今の私はHot Hot Hot!!!(何故cure?)なのです。何故って今日から土曜日まで、すごくすごく楽しみな映画とライブが交互に続くので、浮かれているのです。


今日見た「東京の恋人」は、神保町シアターの「一年遅れの生誕百年〜映画監督 千葉泰樹」にて。春先の公開時に見逃していたので、やっと見ることができました。
ああ〜もう、楽しかった!!!冒頭の3人組の快活な唄声でウキウキしたココロがずっと続いてた。場内も笑い声。
舞台は昭和27年の東京。銀座の繁華街は活気があるけれど、下町の住宅街(勝どき〜月島界隈でしょうか)は木造の狭く古い家屋が立ち並び、山の手の住宅街(どこだろう?)は戦火の跡を思わせる瓦礫の山と広い更地が続く風景に、人々の暮らしはまだまだ貧しいことを感じさせます。主人公の原節子は似顔絵描きだし、仲間の3人組は靴磨きの青年だもの。でもみんな明るく希望に満ちて描かれていて、清々しい。
彼らの縄張りは「並木ビル前」、今の並木通りなのかな?ここへ向かうには混雑した都電に乗って勝鬨橋を渡るのだけど、ここが何と言ってもこの映画の目玉で、「勝鬨橋の開閉」を拝めるのですよ。昭和45年までは行われていたという勝鬨橋の開閉が!
パクッと真ん中が割れて、橋桁がグワーと上がっていく、ウワワー!思わず興奮!その下をサーっと船(小さなボート)が流れると、再び両翼が下りてきて、ガシャンと繋がる。両端で焦れながら待っていた人々と車が一斉に飛び出してくる。
今ではあり得ないこの光景、スゴイなあ。

コメディタッチのストーリー展開は、さっきの勝鬨橋やら似顔絵描きやら散らしたポイントが繋がってく(ベタな)様にワクワク。脇役の森繁、清川虹子沢村貞子などがサスガにヨカ塩梅。細かく笑いどころ満載で、ああ、映画で笑えるっていいなあとしみじみ。。。と思ってたら、母娘の人情話が出てきたりして、その取ってつけたような感じでよくわからんかった。あれだと原節子の役が相当に嫌〜な人なんだけど、いいんだろか。それにしても原節子は男の子っぽい絵描きさんな格好、似合わないなあ。。。

いわゆる古い日本映画を見るにあたって、映画作品としての云々よりも、当時の世相風景を発見することが何よりも楽しい。「東京の恋人」はその点ではまさにドンピシャ。それに加えて、隅田川の潜水シーンではカレル・ゼマンをふと思いだしたり、打ち上がる花火のキラメキにフィッシンガーを思い出したりしたのです。
それにしてもあのタイトルは、内容にどうダブっているのかしら。