「マイ・ファニー・レディ」と銀座の街角で

東京国際映画祭で「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」(原題 SHE'S FUNNY THAT WAY)として上映されたときに絶賛されていたので、一般公開すると良いなあと思っていた作品。オモシロカッター!
誰かと誰かの出逢いだけで偶然が転がっていくストーリーは脚本が「適度に」見事で、いい意味でテキトーにドタバタでキメすぎないトコが今の自分にはバランスが良かった。気になるヒトには気になる部分は私にはどうでもよかったみたいで、ピーター・ボグダノヴィッチという「大ベテラン」としての手腕に「オジイチャン」としてのユルさ(……失礼)が重なったおかげだろうか。ヒューマントラスト有楽町のスクリーン1は見やすかったけれども、TIFFの会場であるTOHOシネマズ六本木の大きなスクリーンで、場内ドカンドカンと大笑いのなかで見たかったな。とはいえこれを年末年始公開作に充てた配給会社様、すばらし!


いい気分でエスカレーターを降りながらふと思う、この映画館は有楽町駅前の商業施設に入っているけれど、他のフロアの店舗に寄ったことがない。渋谷のほうのヒューマントラストもバルトもそうだなあ……。相乗効果あるのかしら。有楽町に新宿に渋谷、それぞれ街は違うのにどれも同じ顔をした建物だ。


次にギャラリー小柳で野口里佳写真展「鳥の町」、品川の展示と違ってスッと入ってこなかったのは、館内が明るすぎるのと天井の躯体が丸見えの構造ゆえかしら。白く高い天井の空間で見たかったな。



銀座の大通り。新橋方面がオレンジ色。
交差点の向こう側にポッカリ広い空き地があった。

一瞬ここなんだっけと固まってしまい、あ、そうだ、テアトル銀座があったとこだと思い出した。

菊竹清訓設計の、1987年竣工の建物が無くなったのは「あっけなく」なのか「漸く」なのか立場によって異なるだろう。ホテルと劇場が入ったビルでは再利用も困難だろうし、壊して新しいものを建てるほうが断然お金もかからない。
けれど「たった30年」しか使われず無かったことにされてしまうなんて!



空き地と首都高のあいだに立つのは京橋の親柱。



昭和34年、東京オリンピックを前にして京橋川が埋め立てられたと同時に橋も撤去され、意味を失ったにも関わらず今も残っているのだ。