シネマライズ閉館

さよなら興行も無く、ひっそりと映画館としての幕を閉じました。

1986年6月7日 ライズ地階に「シネマライズ渋谷」(220席)開館
1996年4月20日 同ビル2階に「シネマライズ2F」(303席)開館
地階「シネマライズ渋谷」を「シネマライズBF」に名称変更
2004年7月10日 同ビル地階にデジタル上映劇場「ライズX(エックス)」(38席)開館
2010年6月18日「シネマライズBF」、「ライズX」閉館
2016年1月7日「シネマライズ2F」閉館
http://www.cinemarise.com/about/

初めてここで映画を見たのはポンヌフの恋人で、「鉄男II 」「ハイヒール」「レザボアドッグス」「春にして君を想う」「時の翼に乗って」アリゾナ・ドリーム」「カウガール・ブルース」「ミナ」「うたかたの日々」「バスケットボール・ダイアリーズ」ロスト・チルドレン」「アンダーグラウンド「小便小僧の恋物語」「シクロ」「ファーゴ」「ラブ・セレナーデ」ブエノスアイレス「ラブetc.」「シーズ・ソー・ラヴリー」イヤー・オブ・ザ・ホースガンモ」「ビッグ・リボウスキ」「ラン・ローラ・ラン「ポーラX」ヴァージン・スーサイズ「青い春」まぼろし」「8人の女たち」「僕のスウィング」「歓楽通り」「モーヴァン」ギャングスター・ナンバー1」「エデンより彼方に」「アダプテーション」「ドッグヴィル」「ロスト・イン・トランスレーション」「スイミングプール」「リヴ・フォーエヴァー」「ジェリー」真夜中の弥次さん喜多さん「おわらない物語」「メゾン・ド・ヒミコ」「ラストデイズ」ブロークン・フラワーズ」「ハチミツとクローバー「サム・サッカー」悪魔とダニエル・ジョンストン」「エコール」「恋愛睡眠のすすめ」「マラノーチェ」「サッドヴァケイション」「ミスター・ロンリー」「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」「コントロール」「アイム・ノット・ゼア」「ぐるりのこと。」「TOKYO!」「ビューティフル・ルーザーズ僕らのミライへ逆回転「ミルク」「ウェディング・ベルを鳴らせ!」「リミッツ・オブ・コントロール「空気人形」「オール・トゥモローズ・パーティーズ」脳内ニューヨークスプリング・フィーバー」「ブンミおじさんの森」「永遠の僕たち」「ムード・インディゴ」「きっと ここが帰る場所」「スプリング・ブレイカーズ」「メイジーの瞳」「5つ数えれば君の夢」「her/世界でひとつの彼女」といった新作をロードショー公開時にここで見ました。新作という評価が定まらないものを「シネマライズで公開するから」見に行く指針になる、ということ。


時々「ライズでやるようなオサレ映画」「ライズでやる映画を好むヤツ」といった具合に嘲笑されるのを目にしますが、要は私みたいな浅いヒトのことを指すんだろうけども、こういう例えは映画館としてはむしろ褒め言葉なのではないだろうか。上映する映画をきちんと選んでいたのだから。映画館としての個性。今じゃミニシアターでさえ如何にさばけるかが前提のプログラムでしょう?
でも上映作品リストを見ると2000年に入ってから「あれ?」っていうのが上がってきてて、2010年に入ると他の映画館で先にやった作品が上がるようになるのだよねえ。最終作品に「黄金のアデーレ 名画の帰還」というどちらかといえばル・シネマ案件を選んだのは何故だろう。。。
私は昨年は一度も行かずに……なので申し訳ないけれど、ここで見たい映画作品をやっていなければ足を運ばないのは仕方がない。代わりに向かってたのはヒューマントラストやシネマカリテだけど、「映画館で見る」という気持ちを抱えられないハコである。
閉館後は「WWW」の2号店として「ライブとクラブの融合を図る」そうですが、やっぱり「多目的スペース」がビジネスとして求められているのだろう。ああ、爆音映画祭の城になってほしい。


渋谷の雑踏のなかに掲げられた「ポンヌフの恋人」と「アンダーグラウンド」の看板広告がある景色が忘れられない。学校帰りにライズで映画を見たあとはA!chi!chi!でお茶して(お金ないときは人間関係)、パルコブックセンター行って、パート3の地下で服や雑貨を見て(大中も行かなきゃ!)、zest行ってクワトロwave行ってHMV行って(ユニオンとレコファンオルタナシスコも)、ああオ・タン・ジャディスでクレープ食べたり、nice行ったりすることもあったなあ。

渋谷公園通り・・・

wave

seed

ジァン・ジァン

壁面広告

A!chi!chi!

大中

cinemarise
が、ここにあったのです。
「90年代の渋谷から抜け出せません。」な私が綴る思い出語り。


以前も記したけれど、「ライズビル」を設計した北川原温さんの建築事務所のサイト内の紹介に添えられた文章を改めて。

「わたし達の記憶の中にある空間や出来事の都市は、この闇の中に消えやがて完全に失われてしまうだろう。この100年間に都市はその意志と商品というふたつの極に大きく引き裂かれ、空間・実体と決別し、厚みも奥行きもなく加速度や振動のタビストリーとなって少しずつ白い闇に包まれていった。」
「ライズは建築であるよりも前に都市の断片であり、さまざまな内面の都市の集積であり、都市の影であり、かの白昼の闇にもし王がいるとすれば、彼の空しくも絶対的な権力によって彩られた夜の庭なのである。」
http://www.kitagawara.co.jp/works/commercial/421

私の90年代は渋谷の街を歩き回る日々で出来ていたのだ。シネマライズで映画を見ることはその前後のあれこれも含めてで、「あの時代だからこそ」だろうし、シネコンの、SCという既に知られた店舗を集めた巨大なハコのなかとは異なるのです。渋谷に来てここで公開されたばかりの映画を見たという思い出があることはありがたいことだと思い返すと、引用した言葉にはなるほどなと思うのです。
渋谷パルコ周辺は大きな区画で再開発されるとのこと。