新作映画3本と閉館

この1ヶ月内に見た作品をさらっと。振り返ると全て80年代生まれの女性監督作品でした。

「螺旋銀河」

タイトルだけで名作決定。どんな映画だろうかとソワソワ気になってしまう素敵な題名に惹かれて、ユーロスペースのレイトで鑑賞。混雑した渋谷をスタスタと駆け抜け、電車に乗って最寄り駅で下車、家まで続く人通りの少ない帰り道。月明かりや外灯に虫の声がいつもよりクッキリと感じる作用を引き起こされた。評価の高さに納得。長編デビュー作には思えない、質の高さと堂々としたつくりにビックリ。最初のほうは自主映画にありがちな硬さがあってぎこちなかったけれど、次第に目に焼き付くシーンが織り込まれていって、面白かったー。話にも演出にも諸々と濱口竜介監督作を思いだしたけども、共同脚本が「不気味なものの肌に触れる」の方と知り、納得。こういう作り方も含めて「2015年」公開作だと実感しました。

「過ぐる日のやまねこ」

こちらもユーロスペースにて。丁寧に真面目に撮られた印象で、雰囲気とか音楽とかなんというか邦画の王道を行ってる感じがした。監督の地元である長野県上田市で全編ロケを行ない、山にほど近い田舎町が舞台だけど観光映画になっていないのは、地元民目線で撮られているからかもしれない。画面から滲みでる素直さは監督自身の人柄なのだろうナア。そこが良さでもありつつ、反面チョット物足りなさが残ってしまった。映画としてはもっと大胆不敵なトコがあるとぐっと引き込まれたかなあ。などと辛口なことを書いてしまったのは、同じく長野県民として応援したい気持ちゆえです。PFFスカラシップ作品だけに今後活躍される監督だろうなあと楽しみにしています。それにしても西尾まりさんがめっきり肝っ玉母さん役になっててねえ……歳を感じますよ・・・。なんといっても鶴岡慧子監督は1988年生まれだし。。。(ちなみに「螺旋銀河」の草野なつか監督は1985年生まれです)

「ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女」

なんだこの邦題! 原題は「A Girl Walks Home Alone at Night」、配給してくださったギャガさんにはとても感謝をしていますが、このタイトルはセンス無さすぎだし、効果的な宣伝ができていたか謎。若い女の子がこの映画を見てくれているといいナア。。。監督のアナ・リリ・アミリプールは1980年生まれのイラン系アメリカ人で、イギリスで生まれアメリカに移住したという。その境遇が見事に反映されたよな、いろんな要素がミックスされた映画だった。かつて私が吸収し体内で眠ってたものがトレースされて、シャッフルして壁に並べたかのような映画であった。故に「カッコイイーー!」って思うモノは万国共通で、時代がまぜこぜになる分新たなコーディネートになるのが面白かった。工場!猫!カワイイ女の子!ボーダー!ゴス!ポスト・パンク!郊外!全部入りだよ!


で、こういう映画はすっかりカリテでやるようになったよなあとライズを思い出してた帰り道に知るこのニュースよ・・・。

渋谷シネマライズ、16年正月上映をもって閉館
http://www.webdice.jp/topics/detail/4875/

先日新聞で読んだ「渋谷PARCO建替」の記事、パート1と3の間の道路を建物内歩道に変更するとか書いてあったけど、リンク先のPARCOのニュースリリースによると当然のごとく様変わり。「ライズビル」を設計した北川原温さんの建築事務所のサイト内の紹介に添えられた文章に震えた。

「わたし達の記憶の中にある空間や出来事の都市は、この闇の中に消えやがて完全に失われてしまうだろう。この100年間に都市はその意志と商品というふたつの極に大きく引き裂かれ、空間・実体と決別し、厚みも奥行きもなく加速度や振動のタビストリーとなって少しずつ白い闇に包まれていった。」
http://www.kitagawara.co.jp/works/commercial/421

で始まるこちらを是非リンク先で読んでみてください。
ライズ閉館に関しては改めて思い出語りします、きっと、、、