「川口家の人々」

神保町シアターならではの企画。「川口一族」の映画を集めた特集上映。
映画原作・脚本家であり、戦後は大映映画の重役として活躍した川口松太郎。その妻であり女優の三益愛子。2人の息子である俳優の川口浩と妻で女優の野添ひとみ。映画館のサイトによると『今、この二組のおしどり夫婦は「川口一族」と刻まれた墓石の下に眠ります。日本映画の黄金期を彩った、ある家族たちの映画をお楽しみください』とのこと。「くちづけ」のような「川口家勢ぞろい」の作品は見れなかったし、この企画意図を汲んだ鑑賞にならなかったのだけど、こういう出会いは楽しいなあ。

最高殊勲夫人 [DVD]

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うー、やっぱり面白いねえ!グラフィカルなOPからしてウワー!とドキドキ。若尾文子のモテモテっぷりというかあしらいの上手さにため息…。舞台は東京駅前のオフィスビルだけど、今はオアゾのところと思われます。地下?の飲食フロアの雰囲気が楽しい!とんかつや洋食屋や甘味屋さん、いーないーな。母が若いころこのビルで働いていたので、今度当時の話を聞いてみたいな。文子たんの家が「郊外」の田畑が広がる中にぽつーんとある光景にビックリしたり。時代背景を映しつつ、軽妙だけど軽薄ではなく、さらっとしてるのにしっかり残る。脚本にしろ映像にしろ演技にしろ、きっちりつくりながらも風が流れてる感じで、すごいなー。こういうの映画館でもっと見たい。


婚期 [DVD]

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OPがこれまたよくって。水彩画で東京の景色が映し出され、最後の東京タワーがそのまま実際の映像になって、左へパーンして、マンションが映り、中の部屋へ移る様にキャー!こういうの見るだけでホクホクする。役者揃いの演技合戦がたーのしーい。まー、兎にも角にも婆やの北林谷栄がッ!「〜でございますのにねェ」ってあの口調、あの仕草、いわゆる「婆や的なるもの」はいつ誰によって確率したのだろうか?「婆や名場面集」を作りたいくらいにタマランです。机からタマゴが落ちそうなとき、あー!あー!っとココロの中で叫びませんでしたか?私は叫びました。離婚した姉役の高峰三枝子が「結婚なんてねえ…!」って名言連発してるけど、そんなにイヤ〜なものじゃあないよって私はコソッと言っておきますよ…。


巨人と玩具 [DVD]

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熱にうなされながら、でもどこか冷めていて、一直線だけど歪んでて、ヘンテコに強烈だったなー。イケイケドンドンなビジネス街の雰囲気とボロボロのバラック小屋との対比とかも。昭和33年は東京タワーが出来た年かあ。そんな高度経済成長期のなか、踊らされて生きる人々のおぞましさや滑稽さ、いわばテンプレともいえるその描き方はちと古臭くもあった。火がなかなかつかないライターのカチカチカチって様に映像を重ねる演出など、ちと謎な部分もあり。野添ひとみによるアフリカンダンスの尺の妙〜な長さとか。会社のオジサンたちの演技が妙に台詞口調でカタイのも気になってしまった。高松英郎がカッコよかったなー。でも覚醒剤はダメ!ゼッタイ!