「映画でみる団地50年史」「今和次郎 採集講義展」

土曜日。東武線に乗って草加市、「松原団地前」で下車。前回は去年の5月頃来たんだったっけ。スカーンとした駅前ロータリーを抜けて、団地の建替工事はけっこう進んだなあなんて横を通って、獨協大学へ。「映画でみる団地50年史」というイベントに行って来ました。
何やらアカデミックで固そうな議題ですが、”講師”が「団地団の大山顕氏・速水健朗氏」なだけにいつもの「団地団」な内容でありました。
過去数回の「団地団」イベント(見に行きました!)を経て先日出版された「団地団〜ベランダから見渡す映画論〜」は、映画作品内に登場する「団地」を軸に語る「映画論」であり、その視点は大山顕速水健朗佐藤大 三者それぞれの「得意分野」から紐解かれているので、多層に渡る発見と広がりの面白さがあります。映画を「映画(作品・監督・俳優)で」語らない切り口には爽快さがあるのです。

団地団 ?ベランダから見渡す映画論?

団地団 ?ベランダから見渡す映画論?

今回は佐藤大さんがいないため、脚本・演出論としての視点は抑えめ?かもですが、出典元の映像を見ながら「コレッ!この角度から見た団地の美しさ…!」(大山さん)とか「この時代には◯◯だったので〜」(速水さん)などと注釈されると、映画を「映画芸術として云々」ではない観点で楽しむことが出来るのです。「しとやかな獣」だって若尾文子の艶めかしさとかまるで注釈されないものねー。
「団地妻」モノも老若男女みんなで笑いながら見たのだけども、「ズームイン暴行団地」なんてタイトルからして「時代が見える」感がたまらなく馬鹿馬鹿しくオモシロカッタ。
団地映画として「おしゃべり奥様」と「女は幾万ありとても」もいつか取り上げてもらえないかなあ*1


日曜日。空気がひたすら冷たい。風が強い。向かいのマンションのアンテナがびよんびよん横揺れしているがダイジョウブだろうか。。。
まずは渋谷、それからバスに乗って山手通りを北へ進みます。私が上京したころからずーーーっっと工事してる気がするんだけど…いつ完成するのだ?でもだいぶ整備されて歩道も広くなっている。一直線のズガーンとした道なりの、正面に新宿のビル群が見えるこの風景は結構好き。

初台で所用を済ませ、ビル風の強烈な冷気を浴びながら新宿へと歩いて、大江戸線で汐留へ。地下通路は閑散としているし、どっちへ行けばいいのかわかりづらい。以前はWAVEだったとこに出来たタワーも閑散としとる。

パナソニック 汐留ミュージアムにて「今和次郎 採集講義展」を見ました。
今和次郎は『昭和初期の急速に大都市化していく東京の街の様子や人々の生活の変化を採集(観察し、記録する)・分析した「考現学」の創始者として知られています(公式サイトより引用)』が、その膨大な資料の現物を見るのは初めて!とっても楽しかった。
日本各地の民家の土地ごとの特徴を記し、「繁華街」銀座にはどんな店があり街角を行く人々が「どんな服装でそんな髪型なのか」、「郊外」阿佐ヶ谷の駅前商店街*2にはどんな店があるのか、住む人々がどんな物を所持して暮らしているのか…詳細に絵で記載し、統計を取り、、、その記録から見えてくるのは、これまで歴史の教科書や小説やドラマ・映画からはわからなかった「普通の人々の暮らし」であり、時代を超えて私たちと繋がっていることを思うのです。
写真じゃなくって、絵なのですよね。とっても愛らしい絵柄なのだけど、採集した記録が「見やすい」ことがすごいなあ。地道で丹念な根気のいる作業をただまとめたのではなくって、図案化されてるの。その魅力を提示している今回のディレクションも上手いなー。

今和次郎 採集講義

今和次郎 採集講義

今回の展示の図録になっています。アートディレクションは菊池敦己。
東京考現学図鑑

東京考現学図鑑

あ、「考現学」って言葉は80年代っぽいな、なんだか。
考現学入門 (ちくま文庫)

考現学入門 (ちくま文庫)

*1:http://d.hatena.ne.jp/mikk/20110930/p1

*2:道なりがまんまパールセンターなの!今とどう相違があるか確認したい!