「猫」という名の街

迷い込んだのは猫の街。「猫」と名付けられた街、といったほうが正しいか。





地名の所以かここには猫しか住んでいないだろうか?と思えるほど、人には出会わず、その代わりに猫があちらこちらにいた。「なんだい、用があるのかい」とこちらを見やるか、もしくはくうくうと寝ていたのだった。




トタン屋根のうえに、いた。


いぬは1匹だけ見かけた。

寂しげなまなざしにこちらが泣きそうになってしまった。いったいなにがあったのかい?



看板猫!なんてのもいた。


何故かパンダが… 熊猫だからだろうか?

この街はかつて漁村だったそう。昭和40年代にベッドタウンとして急速に発展し、埋め立てた干潟は住宅地になったものの、海へと続く淀んだ川には小舟が浮かび、貝殻が捨てられ、その先には船宿があり、猫が寝る。そんな街の夕暮れはとても美しかった。