角を曲がった公園の向かいに

昼を過ぎてから電車に乗って北西部の街へ。駅周辺は殺風景で商店街も無く”見えてこない”町並み。角を曲がると建ち並ぶ住宅は古くても昭和50年代くらいで、敷地の広い立派な邸宅は大抵新しめの印象がある。お腹空いたなーと思いながら休日の静かな通りを進むと目指す店が見え、中に入ると既に数組並んでいた。う、わわわ。。。人気店ってこういうことなんだなー。店内はあまり広くはなく、席がぎゅっと詰まっていてお喋りでガヤガヤしていた。この雰囲気が目指すところであるのかもしれないけど、落ち着かなくてなんだかな…。せっかく来たけれど店を出て再び歩き出した。まっすぐに一本続く道はなく、ゆるやかなカーブを描く道と細かに区切る道が重なるため先がよく見えない。目印もなくて自分がどこにいるのかわからなくなりながら、なんとなく進む方角を定めながら歩いていく。
それにしてもハッとしたりワクワクすることがないこの歩みよ…。なんだろなあ、この界隈が重ねた年輪がまだ不十分で、人の暮らしの端っこが滲んでこないとでも言おうか。家の連なりにようやく商店が見え始め、スーパーがあり、線路を超えて更に路地を進むと小さな公園があり、喫茶店があった。どうにもお腹が空いたし入ることにしよう。ちょうど先客が帰るところで、店内は私だけになった。こじんまりとスペースで、40代ほどの女性がひとりでやってらした。カレーを頼みぼんやりと外の公園を眺める。大きな桜の木が一本、1ヶ月も過ぎれば満開だろうな。その下でアジア系の子供が2人遊んでいた。猫があちらへ横切り、しばらくしてまたこちらへやってきてはまたあちらへ戻る。静かでのんびりとしてて、いいところだな。
お待たせしました、とカレーが来た。添えられたサラダの盛り方に丁寧に作られていることがわかる、そのとおりの美味しさ。店主の方の印象とそのまま重なるものだなあ。こういう出会いが散歩の楽しさでもある。見えない奥に息遣いがある。


店を出ると曲がり角にさっきウロウロしてた猫がいた。通りを歩いていくといきなり駅舎が見えた。昔何度か訪れたことがある駅は建て替えられ、すっかり印象が変わっていた。電車に乗って、ターミナル駅へ。帰宅しいつもの鍋の用意。