遅れてやってきた夏休み

水曜日から遅い夏休みを取りました。5日間中すでに2日分はそれぞれ取得し、残りの3日間を使って旅に出る予定が無くなり、のんびりと夏の終わりを過ごすこととなりました。

【1日目】

喫茶→映画→珈琲→映画の日。古くて新しい喫茶店でぼんやり。小さな店内には私ひとり。格子の窓の向こうに見えるビルの解体作業を眺めながら、時が止まったかのようなひとときを過ごす。
それから神保町シアターで「男嫌い」、オモシロカッター!ドタバタモダンでステキ。それから移動して珈琲焙煎屋さんへ行くも休み、また移動して他の焙煎屋さんへ。窓際のカウンターで手紙を書く。その近くのパン屋へ向かい、久々に角食があったので心の中で小躍りしながら購入。わーい。ここの角食が一番好きだ。距離的に近いんだけどふらっと行きづらい…。でもそれで良い。ここはあくまでもごくご近所さんの馴染みで、こじんまりとしてて、ガイドブックなどに掲載されることを拒否しているよな店。巷ではパンフェスなるものがあるけれど、直接店のかたから買えると行っても味気ないというか踊らされてるというか、私には気持ち悪さしかない。行列して、手当たりしだいに幾つもの店でたんまり買って(しかも子連れとかね)、気持ちはわかるけどそれでいいのかなあ。建物としての、空間としての、「店」には店主自身の人柄や姿勢が溢れていて、やっぱりそれ込みで「私はここで買う」ということではないのだろうか。
神保町に戻ってもう一本、「足をさわった女」。こちらもオモシロカッタなあ。スタイリッシュと見せかけてナントモ奇妙。本日の2本ともかねてから見たかった作品で、その期待にぴたっとハマってくれて嬉しくなる映画だった。感想は別途。


【2日目】

今日はギャラリー巡り。1つ見たいのを見つけて、他に何かあるかなーとTABで調べたらコレも!コレも!って見つかったのでぐるっと回ってしまうことにした。路線図見ながらスケジュール立てたけれど、最後の1本は時間オーバーで残念。でも見れてヨカッターってのばかりでした。各感想は別途。
TABというのは「tokyo art beat」という美術情報サイトで、たいていコレをつらつら〜と見て「発見」することが多い。全然知らない作家でも、ここにちっちゃく出てる写真に「ピッ」と来て、詳細見て判断する感じ。ギャラリーの情報ってなかなか気付きにくいのだけど、情報収集に頑張るのでもどこからともなく「◯◯って良いってよ」と知るのではなく、こんな感じで出会いたいと思っている。ところで入り口の芳名帳はいつまであの形式なのだろう?作家さんの次の展示知りたいと思っても、住所をあんなかたちで(スタッフすらもいなかったり)晒しっぱなしなのは抵抗があるんだよねえ。小さなハコがあって、そこにアンケートハガキみたいな形で感想含めて入れてもらうとか…ダメなのかしら。


【3日目】

Y氏と海辺の街へ。電車に乗ってバスに乗り換えて辿り着く、住宅街の中の小さな小屋。ここが日本とは思えないよなところ。釜から出たばかりの湯気がホカホカしてるそれらはとってもよい表情で、お品書きの文字やその他の雑貨類等など、至るところにまで店の人の気持ちが感じられて嬉しくなる。久しぶりに訪れたのに覚えていてくださって、音楽の話などたっぷりとする。店の佇まいは店の人、そのものだなあ。
それから海へ出る。キラッキラした光が眩しいけれど、浜辺には数人しかいなかった。A Distant Shore? そのまま海岸沿いを歩いた。夜は駅前の小さな居酒屋で新鮮な刺身などいただく。壁にずらっと並ぶ手書きのメニューから「うまいよ!」って伝わってくる。いい店。


【そして土曜日】

中華街へ。10月1日に行なう予定の国慶節のパレードは中止となったらしい。とはいうもののいつも通りな雰囲気。通りかかりに「横浜中華街映画祭」というポスターが目に入りました。「さらば、わが愛/覇王別姫」などのラインナップ。こんなのがあるのだなあ。あとで知ったのだけど、黄金町の映画館ジャック・アンド・ベティによる催しで、

会場となる「同發新館」は、昭和30年代まで「新光映画劇場」という映画館として使われていました。当時の人々も、この場所で映画を観て、笑い、泣き、おおいに語り合ったに違いありません。50年という長い時を経て、7日間だけ、同發新館が映画館として生まれ戻ります。 → http://www.chinatownfilmfest.com/

という試みだそう。
更にこの会場は76年に細野晴臣とティンパン・アレイが伝説のライヴを行ったそうで、後にライブ盤「ハリー細野&TIN PaN ALLEY IN CHINATOWN」としてリリースされていました。

ハリー細野 クラウン・イヤーズ1974-1977

ハリー細野 クラウン・イヤーズ1974-1977


周辺にぎっしり建ち並ぶ中華料理店の店先では、働く人々が母国語でちょっとした言葉を交わしています。みんないい顔をしていて、店内は賑やかで、ごはんがいっそう美味しく感じられます。国籍だとか関係なく、日常のごく当たり前のささやかな幸せが、奪われないように、振り回されないように、高級では無くとも美味しいごはんを食べ、時に映画を見たり音楽を聴いたり本を読んだり、笑ったり泣いたり語り合ったり、国の政を担う人たちは「そういうこと」を念頭に置いて、仕事を全うしてほしい。そう強く思うのです。

それから茅ヶ崎へ移動。

駅前の商店街にある中古盤屋へ行く。ザックリとした売り場だけど、なんか良い。

Lapsed

Lapsed

Bardo Pond「Lapsed」を700円で購入。マタドールから97年にリリース、時代的に先端などには行けなかった今更感漂うオルタナシューゲイザーな音で、だからこそ結構好み!ジャケも好き。なんか4AD〜シューゲイザーポスト・ロック先駆けな感じで。

移動して、辻堂駅前。駅入口から眺めただけだけど、最近再開発でオープンしたモールの唐突な威圧感と地面から浮いてる様はすごかった。パッケージとして洗練されててこれまでのSCとは違う雰囲気があり、「湘南ブランド」の持つステータスを印籠化させたような。関わった人たちの凄みがオソロシイまでに感じられるわ…。駅前にコレってのがまたすごいなあ。

9月の終わりだといえども日中の日差しは強かった。明日は中秋の名月だけど台風が上陸する予報。

満月一歩手前の月が輝いていた。