霞ヶ関〜虎ノ門〜麻布〜広尾〜恵比寿〜渋谷


11月上旬のこと。葉はまだ緑。
ふと思い立って向かった休日の霞ヶ関は閑散としてて止まった街。
虎ノ門は例の再開発まっただ中で、前回行ったときには閉ざされたままの店やビルも今はもう無かった。

この三角地にはかつて建物があった。セットバックした場所に将来道路が出来るまでの契約で建てていたのだろう。計画が頓挫した期間が長いだけにそういう場所が多々ある。


辺りはどんどん駐車場になり、残る建物が所在無さげに佇む。

こんなふうに網で覆われたものも。

あの崖みたくなってる上も。

路地の奥へ進むとギョッとした。


一帯がこんな網で覆われた家だらけなのだ。ひとつまたひとつと家主が去り、残された家屋はそのまま。
こうやって少しづつ暮らしが消えてゆくのを手ぐすね広げて待っているような、静けさがある一画。

それでもなお、網を突き抜けて花は咲くのだ。

見上げれば超高層の豪華マンション。あと数年もすればここも更地になり、あのような風景に生まれ変わるのだろう。

外苑東通りを超えて狸穴坂を下る、といきなり大きな工事現場。

東急アパートメント建て替えなのか!うわー、、。
高峰秀子達が守った地名は残ったままマンションにも引き継がれていくけれど、なんというか形骸化でねえ。最近の高級マンションはかつての地名を名付ける傾向があってイヤ〜な感じである。

坂を下ったこの角はまだ残ってた。

新しい住宅、壁の窓は絵だった。

麻布十番へ。商店街は賑わっている。六本木ヒルズが出来て以降、ほんとうに雰囲気が変わったなあ。観光地になった。表参道からお散歩してpetit culに行ってたときが懐かしいなあ(懐かしがり婆…)ずっと奥へ進んでいって

暗闇坂。このカーブが美しい。こういう坂を歩いているとふっと江戸時代の空気がやってくる。
高級住宅街のなか、角を曲がってゆくと急にバッと広がる景色。

この界隈の高台の下に広がる密集した家々、その向こうの高層マンション。
坂を下り、辿り着くのは有栖川公園。

秋の光。
ナショナル麻布マーケットも新しくなり、外苑西通りを超えて、広尾五丁目アパートを左目に入れながら魚屋が今もある商店街(タダスポーツも!)を抜け、明治通りを渡り、恵比寿へ。
ナディッフに寄ってから、タコ公園の新しいタコを眺めて、大きな歩道橋を渡ってリキッドルーム(ここがその名前ってまだしっくりこない…)、ギャラリーに寄って、明治通りをずっと歩く、このあたりの「どこでも無い」感がいつも不思議。ヒカリエが近づいてきて、渋谷駅へ到着。
霞ヶ関から渋谷にかけてのエリアは上京して以来、何かと通っているけれどほんとうに着々と変化しているのだと思わされたこの日の散歩道だった。