「イノセント・ガーデン」

ホン・サンスの「ハハハ」を見に行こうと随分前からカレンダーに書き込みまでしていたのに、当日の朝になって「イノセント・ガーデン」を今日見たい!と思って、予定変更。まあホン・サンスは何本か見ているしそうそう変わらないだろう(暴言)。

Stroker

Stroker

一番最初の画で全身身震い、、、タイトルバックからラストまで。目も耳も皮膚も麻酔にかけられ、感覚の隅々まで鋭敏になったような麻痺したような。緊張感を孕んだ不穏な空気が持続低音のように鳴り続け、絡めとられてしまう。
彩度の低い色のなかに冷徹で官能的な構図が冴え渡る映像が美しくて、映像と双子のように配置された音響設計も素晴らしくて、息をひそめ身を固くして見届けた。10代の頃に見てたらもう、たまんなかっただろうなー。
パク・チャヌクがダークゾーンを暗黒乙女な世界観として作り出すとは思わなかった…。漆黒の髪のミア・ワシコウスカの不機嫌顔が愛らしい。蜘蛛や卵や靴など偏愛な小物づかいも絶妙でなんとも素晴らしい。だけど、「この手のはこういうのでショー!」ってベタな感じもしちゃったりする。でも私は、そんなベタな暗黒っぷりが昔も今も好きなんだよッ!(画像に挙げたサントラのジャケからして、もうっほらっ)ピアノ連弾のスリリングな陶酔感を引き出す楽曲がフィリップ・グラスによるものとは、恐れ入りました。。。 
時代設定は現代なんだよねーと思いつつも、退廃的なムードがなんだかちと昔を思い出す気がしてた、ら、エンディングロールの曲がトリップホップみたいだったので、ああああこの感覚そうよそうです90年代後半です!てガッテンガッテン&ズコーッ。そこがチョット惜しい。そういえば「薬指の標本」を思い出しました。

公開してくれてありがとうですし見やすかったし駅からも近くて文句つけるなんておこがましいけれど、「館」として素敵なところで見たかったな…と贅沢を。