「花影」

先日神保町シアターで見た「花影」はとてもよかったけど、まだ感想を残していなかった。川島雄三監督作で、まずとにかく1ショットごとの画面構成が素晴らしく、右斜め上から捉えた絶妙な配置に痺れまくる。そして主人公の葉子の下宿などロケーションもストーリーをキチッと体現されていて、流石にスゴいなあ。。。
そしてタイトルでもある「花影」を映し出す桜のシーンのライティング!ドラマチック過ぎるくらいなんだけど、「美しいうちに死んでいく」という台詞がふっと頭に浮かび、共に光の中に溶け闇に落ちていくのだ。相米監督の「風花」はこれに影響されたのかなあ。
葉子役の池内淳子のひいやりと冷たい美しさったら。男たちが我がものにしたくとも芯に触れることが出来ず、そのもどかしさ故に、真綿で首を絞めるかの如く葉子に呪縛をかけていく。葉子自身もその呪縛を断ち切れないことがあまりにも哀しい。
最初と最後だけ登場するナレーションがメロドラマ色を高めるけれど、あくまでも葉子を客観的に語っているから、余計にずーんと胸に落ちた。