高谷史郎「明るい部屋」〜 恵比寿から散歩

彼にとっての初めての”美術館”での個展が恵比寿写真美術館でというのも興味深い。タイトルはやはりロラン・バルトからなわけですが、表現方法がシームレスでありながらタコツボ化しているように感じられる昨今でこのひとがここでこういった展示をすることが面白かった。壁一面を使った横長の映像が現実をゆっくりとスキャンしているようだった。現地でこの目で見ているのと殆ど変わらない超高解像度の映像は、世界を極めてクリアに凝視し浮かび上がらせていた。この作品が池田亮司のノイズの壁を超えて表れるところが構成としてヨカッタなあ。

他の階の展示も見ようかと思ったけれど感覚が鋭敏になっていそうだからやめて、外へ出た。ナディッフへ寄ってぐるりとまわって駅前へ。裏通りを歩くとまだまだ古い昭和な呑み屋や家屋がぽつぽつ残っていて、大きなビール工場があったこの町の歴史を思い浮かべた。駅を超えてゆるやかに上る駒沢通りを進む。建て替えられたビルも増えていて、一階には新しい飲食店が入っている。代官山へ。思った以上に人が多い。並木橋へ向かう通りを覗くと建て替えられたビルが目立つ。なんだかそちら方面へ歩く気がせず、久しぶりにボンジュールレコードへ寄ってみると「レコード」とは名ばかりの店内になっていて驚く。服飾雑貨→コーヒースタンド→洋書(写真)ときて、CD棚はかつての四分の一になっていた。まあ、そうなるよなあ。と遠い目をするけど実のところはココ苦手。
ここからツタヤへ。人多いなあ。代官山も一時期は人通りが減った感じがしたけれど、さすがなツタヤ効果でしょうか。ここ、敷地は広いのに書籍売り場は詰めて陳列されていて、そこにたくさんのお客さんがいるから狭苦しくて落ち着かない。ゆっくり本を探す気持ちになれないんだけど、ツタヤとして想定以上の状況なのだろうか?各専門書コーナーよりも日本の一般雑誌コーナーに人が多いってどういうもんだろうか。 
ここを出て、急な坂道をくだり、山手通りを超え、住宅街をつらつら進む。駅まですこし距離のあるあたりは時間の流れが独特で、どこにも属さないにおいがする。初めて通る道は楽しいナアと目に映るもののあれこれが新鮮で、いつのまにか学芸大学前駅に辿り着き、もう夕方だしね、と電車に乗った。

海賊公園。