OGRE YOU ASSHOLE / ペーパークラフト

9月に新代田feverでのライブを見た。年末のリキッド以来だけど、タフになった気がした。ドラムとベースとギターのどれかが立つわけでもなく、それぞれがそれぞれの足でクッキリと立ち、屋台骨として存在し、風が抜けながら楽曲を創り出す。PAがその良さを的確に引き出し、観客にきちんと伝わり場内を揺らし、彼らに還っていく。音だけがその場にある。感覚が意志となり具現化されるほどの位置に行けるバンドは、実のところそうそうない。

そして新譜。音が明確。しっかりとした実があるのに重く感じず、いい意味でさらりとしている。見えないなにかを掴まえて音にしている。存在感があるのに希薄な、不思議な印象。音の構築と重量と配置に力を注いでいるからだろうか、最後の曲が終わると耳が無音状態というか、シュコーッて変な感覚に陥る。それくらい現実とは違う場所で鳴っている音なのだと思う。隙間があるからこそ聴こえてくる音だとか。メンバー個々の我が無くて、バンドとして個があるから存在感が不思議なのかな。

「インディーズイシュー」最新号のインタビューがとても興味深かった。地元長野に所有のスタジオでは「4人が一定のリズムをキープできるとか。いいグルーヴを出すための練習ばかり」している話が、特に印象的。ジャムったなかで曲が出来上がるのではなく、ストイックだということがナルホド・・・。そうやって基礎体力を付けることで気づいたり、表現可能になる音がある。石原さんのインタビューでは「80年代にぼくが聴いていたようなものを聴かせると、当時ぼくが感じていたのと全然違うような感想が出来てきて面白いんですよ。例えばペイル・ファウンテンズを聴かせると『これ、ベースとギターの音があたっちゃってますね』『曲はいいけど演奏へたすぎ』みたいな」というくだりがあり、マスロックが目の前にあった世代というか、感覚が違いすぎてウワーっとなってしまった。
http://indiesissue.net/saito/indies_issue.html

オウガの頼もしいところは、フェスにもバンバン出てるところ。対バンの組み合わせも面白いし、そうやって臆することなく面倒くさがらずフレキシブル且つフットワーク軽い活動は、ネットの口コミで広がりやすい今は更に有効的だし、彼ら自身も閉じることなく吸収していることが伺えて素敵だな。